コロナ禍によってデジタル化という大変化が加速している。後れを取っている日本は今後、雇用問題を避けては通れない。国が取るべき対策のいい手本はあるが、果たして可能なのか。実は、慄然とするような現実があると大前研一氏は訴える。特集『賢人100人に聞く!日本の未来』(全55回)の#20では、その現実に迫る。(ダイヤモンド編集部論説委員 小栗正嗣)
真のデジタル化を阻む雇用問題
日本には格好の手本があった
今、起こっている変化とは何か。新型コロナによる影響で、この20年ぐらい進展してきていた世界的な変化、大きな変化がさらに加速しているんだと思います。
その変化とはデジタル化です。経営への衝撃はさらに大きく、広がっていく。あらゆる組織が適応力を問われ、デジタルトランスフォーメーションを迫られるのです。
日本でもZoom会議、テレワークといった言葉が定着しましたね。ところが、日本企業はこの世界的な変化に大きく後れを取っているのが現実です。
特に遅れているのは間接業務です。間接業務のいわゆる業務改革が、デジタルトランスフォーメーションの俎上に全く載らなかった。
製造現場や経理などのコンピューター化はしているものの、仕事のやり方は変わっていない。余った人間を持っていく場所がない。コンピューター投資のカネが余計にかかっちゃっているだけの状況なんです。
実は日本にはいい手本がある。