迷走 皇帝なきJR東海#番外編Photo:SOPA Images/gettyimages

国鉄分割民営化時に、JR東海には最低限の土地しか分け与えられず、同社が不満を募らせていた品川駅で、新たな土地の割譲が行われたことが分かった。JR東海がリニア中央新幹線品川駅の用地としてサッカーコート1.2面分もの用地を獲得していたのだ。しかし、品川駅の大地主であるJR東日本と、狭隘(きょうあい)な土地に押し込められているJR東海の確執は解消されそうにない。ダイヤモンド・オンラインの特集『迷走 皇帝なきJR東海』の番外編では、両社の因縁の地である品川駅を巡る暗闘に迫る。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

リニア中央新幹線品川駅のために
約1ヘクタールを新たに確保

 JR東海の故葛西敬之名誉会長が「新幹線強化のための離れ業」と自画自賛していたのが、2003年の東海道新幹線品川駅の開業である。

 同駅の開業により、東海道新幹線は、東京~大阪間などで航空機を利用していた品川駅周辺の顧客を獲得。駅ビルの不動産ビジネスを展開するJR東日本にも恩恵をもたらすなど、大きな経済効果を生んだ。

 だが、新幹線品川駅の大成功の裏で、JR東海とJR東日本は暗闘を繰り広げていた。

 次ページでは、「骨肉の争い」とまでいわれた品川駅を巡る両社の争いや、JR東海が1ヘクタール弱の用地ををリニア中央新幹線品川駅向けに確保した経緯を明らかにする。