コーヒー粉写真はイメージです Photo:RyanJLane/gettyimages

コーヒー豆の価格高騰が続いている。背景にあるのは、天候による一時的な不作だけではない。限りあるコーヒー豆をめぐって、争奪戦が始まっているのだ。このままでは、コーヒーは低価格で味わえるものではなくなるだろう。(ダイヤモンド編集部 下本菜実)

ブラジルでの不作で
価格は2020年の約1.7倍に高騰

 コーヒー豆の価格高騰が止まらない。価格高騰が顕著なのは、缶コーヒーやインスタントコーヒーなどに使われるロブスタ種の先物価格だ。ロブスタ種の国際指標となるロンドン市場では、取引価格が1トンあたり2807ドルまで上がっている(6月20日、7月取引価格の終値)。同1180ドルほどで推移していた2020年4月~6月と比べると、約2.3倍の価格だ。

 豊かな風味と酸味が特徴で、主にコンビニやカフェチェーンのドリップコーヒーに使われるアラビカ種も同様の傾向にある。アラビカ種の国際指標となるニューヨーク市場では、取引価格は1ポンド当たり177セントとなった(6月20日、7月取引価格の終値)。これは、同250セントを超えた22年6月と比べると落ち着いているものの、20年の6月と比べると約1.7倍にもなる。

 背景にあるのは生産の減少だ。後継者不足による耕作放棄地の拡大や、アラビカ種の約3分の1を生産するブラジルでの不作が影響している。次ページでは、国際機関が示唆する地球温暖化による影響や、“コーヒー新興国”との争奪戦の熾烈(しれつ)さを解説する。