うなだれる男性写真はイメージです Photo:PIXTA

歴史的な物価高も背景に、国内で資産運用への関心が高まっている。しかし投資といっても、何にでも手を出していいわけではない。ここでは手出し無用の「チャラい」投資手法を、経済評論家の上念司氏が解説する。

※本稿は、上念司『何をしなくとも勝手に復活する日本経済』(ビジネス社)の一部を抜粋・編集したものです。

空室リスクに晒されるワンルームマンション

 資産運用の中でも、私がとくにチャラい資産として認定しているのが、ワンルームマンション、仮想通貨、FXの通称“チャラ3”だ。

 それぞれ説明しよう。まずワンルームマンションだが、これはある意味、バブル時代のそごうや三越やヤオハンが行った錬金術と同じだ。インフレ時代は地価が上がると、企業は含み益が出るので、それを担保にさらに借金して、投資をする。100万円借りて100万円の土地を買い、それを担保に100万円借りて、100万円の土地を買うといった具合で、無限に土地を買って大きくすることができた。

 最盛期には京王線の主な駅に、そごうがあったほどだ。私は学生ながらに、こんなにつくって大丈夫かと心配していたら、バブル崩壊ですべてが逆回転をしだすと、資金が持たなくなり経営破綻した。

 逆に、デフレ期にうまく成長したのがイオンだ。出店に際し土地を買っていたダイエーに対し、イオンは借りるにとどめていた。これがイオンとダイエーの明暗を分けたと言われる。いまダイエーはイオン傘下に収まっている。

 話をワンルームマンション投資に戻そう。この投資の場合、たとえば2000万円でワンルームマンションを全額ローンで買い、その家賃で金利と元本を返済する。ある程度返済が進んだら、2軒目を同じスキームで買う。これを繰り返して物件をいくつも所有する人がいる。ローンは家賃で返済すればいいから、負担はほとんどないというが本当だろうか?

 確かに買った部屋がつねに埋まっていれば、このようなビジネスモデルも持続可能だ。

 しかし現実には、そうはいかない。そもそも、日本ではワンルームマンションが余っている。空き室状態が半年も続けば、銀行の支払いが滞り破綻するリスクも高まる。ワンルームマンションを売ったとしても、売値は買値より当然安くなる。