日銀元副総裁に聞く「異次元緩和のデメリット」と「政府が講じるべき一手」Photo by Kazutoshi Sumitomo

日本銀行は長期金利である10年物国債利回りを0.25%以下に抑制するために、毎営業日、0.25%で国債を無制限に買い入れる「指し値オペ」を実施する。この施策は足元の円安進行の誘因となった。山口廣秀・日銀元副総裁は、連日の実施に対して疑問を呈する。特集『「円安」最強説の嘘』の#11では、金利抑制策に疑問を抱く理由と、その背景にある異次元緩和策のメリット・デメリットについて聞いた。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)

景気回復と言い難い状況下での
金利引き上げへの躊躇は理解できる

――エネルギーや食料品の価格高騰につながる円安を抑制するためにも日本銀行は金利を引き上げるべきとの声がある中、日銀は毎営業日、0.25%で国債を無制限に買い入れる「指し値オペ」を実施すると表明しました。

 日本経済が米国や欧州に比べて相対的に弱いことは事実です。景気が回復していると言えない状況で金融を引き締めるのは難しいです。躊躇せざるを得ないという判断は一応理解できます。

 しかし、この先景気回復がみえてきて、物価も上がってくるということがはっきりしてくれば、大枠としての金融緩和は維持しながら微調整をしていく余地はあり得るでしょう。

――為替レートは金融政策だけで決まるわけではありませんが、円安が急速に進行している今、日銀の現状のスタンスのままでいいのでしょうか。