頑張っているのに成果が出ない。どうすればいいのか、途方にくれる人も少なくないだろう。そんな人におすすめなのが、『1位思考──後発でも圧倒的速さで成長できるシンプルな習慣』。「週刊ダイヤモンド」「トップポイント」など数々の書評で絶賛。創業9年目で売上300億円にしたアンカー・ジャパンCEOの猿渡歩氏、初の著書だ。猿渡氏は「適度にサボると生産性は上がる」という。コンサル→ファンド→27歳アンカー・ジャパン入社→33歳アンカーグループ最年少役員→34歳アンカー・ジャパンCEOになった著者が、参入したほぼ全製品カテゴリーでオンラインシェア1位になった秘密は、シンプルな6つの習慣にあった。本書の一部を抜粋しながら急成長の秘密を明らかにしていこう。
4Pのフレームワークを
どうやって活用するか?
前回、仮説思考の7つ道具を紹介した。
今回は、その中の「4P」をどう使うかを一緒に考えてみたい。
たとえば、こんな問題に直面したとしよう。
最近競合から発売された新商品により、自社のシェアを奪われていることがわかった。
その新商品は自社の主力商品と同程度のスペックなのに、価格が安く設定されていた。
この状況でどのように考えるべきか。
4Pのフレームワークを活用してみよう。
このような場合、競合に対抗して「価格を下げるべき」と短絡的に結論を出すのは拙速だ。
価格とスペックだけでは、検討項目として抜け漏れが多いので、より多角的な観点で分析する必要がある(図表3)。
3点に注目した分析
図のように、値下げというPrice(価格)戦略以外の、Product(商品)、Place(流通)、Promotion(販促)の観点から市場を分析し、課題を特定する。分析の結果、以下の3点がわかった。
●Product(商品)……お客様は購入時に製品のコンパクトさを重視している。競合と同等だが、自社製品では訴求されていない
●Place(流通)……小売店の配荷状況を見ると、展開店舗数に差はないが、店頭で目立ちにくい棚に置かれてしまっている
●Promotion(販促)……店舗に設置していた販促物が撤去されてしまっている
これらを分析せずに、価格をただ下げていたら、シェアを回復できず利益だけを失っていただろう。
分析を通じて課題を特定することで、製品訴求の見直し、棚割の再交渉、販促物の再設置など適切なアクションを取ることができ、利益率を保ちながらシェアを回復できるかもしれない。
このように日常の仕事の中で代表的なフレームワークを使ってみることで、自分の武器を磨いていく。
スポーツを習得するのと同様、基本的なルールや動作に関する知識は必要だが、結局は自分でプレーして体の使い方を覚えていくしかないのだ。
(本稿は『1位思考』の一部を抜粋・編集したものです)