中国に行きたければ裸になれ!?厳しすぎる「ビザの壁」に悲鳴をあげる日本人が続出日中の間でもコロナ前のような人的往来が待たれている(著者撮影)

家族を訪ねるための旅行や取引先との商談などの目的で中国への渡航を希望する日本人が増えている。だが、現在、ビザ申請の壁はあまりにも高い。煩雑なビザ申請に奔走させられる人々の声からは、中国が外国人の入国に非常に消極的になっていることがわかる。中国の半鎖国的な一面は、ビザ政策からも浮き彫りになっている。(ジャーナリスト 姫田小夏)

多くの日本人が泣かされているビザ申請

「たかだかビザの申請に、なぜこれだけの個人情報が必要なのでしょうか」

 8月に中国への渡航を予定している都内在住のAさんは嘆息する。Aさんは「出発の1カ月前には申請書類を提出したほうがよい」という中国ビザ申請センター(以下、ビザセンター)の指南に従い、6月から準備を開始した。

 申請の手順は、オンライン上で申請表を作成して手続き日の予約を行い、手続き日にビザセンターで申請書類を提出する、というものだ。Aさんが申請する旅行ビザには航空券のコピーのほか、ホテル手配の確認書、中国側からの招聘(しょうへい)状などが必要とされる。

 オンラインでの申請表の記入事項は多く、なかなか次のページに進めないどころか、パソコンがフリーズしてはやり直しで、大変骨が折れるものだった。Aさんは四苦八苦の末、ようやく入力を完了させたが、手続き日の予約は7月下旬だった。ビザが取得できていない段階で航空券を購入しなくてはならず、「発行の所要日数は4日だと言うが、8月初旬の出発までにビザは本当に下りるのか」とAさんはヒヤヒヤしている。

 一方、オンライン上で申請表の入力を進めるAさんがためらったのは、中国側の受け入れ機関と関係者のあらゆる情報を打ち込まなければならないことだった。

「自分の個人情報のみならず、現地の関係者の詳細な情報までも当局に筒抜けになってしまいます。入力は本当に泣きたくなる作業でした」(同)

 申請表の作成を通して、中国当局に詳細な個人情報が吸い上げられていく、その驚きの実態について、大手上場企業に勤務するBさんも語ってくれた。