今日も仕事でうんざりだ。給料は安すぎ、仕事量は多すぎる。怒りにまかせて1時間足らずで何十件もの求人に応募し、反撃への第一歩を踏み出したとほくそ笑む。だが実際は、今の仕事から一歩も動けないかもしれない。ソーシャルメディアで話題になっている「怒りの応募(rage applying)」は、今の仕事に対する怒りの矛先を、手当たり次第に履歴書を提出することに向け、あちこちの会社から魅力的な内定通知を受け取っては悦に入る、というものだ。この言葉のおかげで転職がうまくいったと主張する向きもある。だが有効性は疑わしい。しかも大量の履歴書をまき散らすことで、すでに人工知能(AI)の監視するブラックホールと化した候補者選考プロセスをさらに渋滞させる可能性がある。