自分の思考や感情、行動をセルフモニタリングできる、問題解決のアイデアを思いつく、失敗をシミュレーションしてよりよく生きることができる……。夢の中には「自分らしく生きる」ためのヒントがたくさん隠されている!?本稿は、松田英子『1万人の夢を分析した研究者が教える今すぐ眠りたくなる夢の話』(ワニブックス)の一部を抜粋・編集したものです。
自分のみる夢を活かせば
より良い人生を歩める
睡眠中に、または夢をみている最中には、生きるために重要な作業がおこなわれており、夢はその一部を私たちに教えてくれます。睡眠と覚醒のメリハリをつけて、睡眠をたっぷりとって自分のみる夢に注目することは、自分らしく生きるうえで有用です。
・自分の思考、感情、行動をセルフモニタリングできる
・失敗をシミュレーションして、よりよく生きる
・夢で問題解決のアイデアを思いつく
・夢のイメージを活かして自分の人生を切り開く
夢にはこんなふうに、私たちが自分らしくよりよい人生を歩んでいくためのヒントがたくさん隠されています。
みる夢の内容には、パーソナリティ(性格の個人差)や、いまの感情、気にしていることが関わってきます。夢の想起(思い出すこと)は、一生涯を通して男性より女性が多く、青年期をピークとして、年齢とともに減少してきますが、老年期などは個人差が大きく、とても鮮明な夢を想起する人とそうでない人に分かれます。
ひと晩にみた夢を私に3~6個ずつ教えてくださったインフォーマント(資料提供者)は、80代の男性Hさんです。Hさんはお若いころから夢が鮮明で、明晰夢体験もあり、夢の記録をつけていた時期もおありだったそうなので、習慣化されているのかもしれません。
またパーソナリティでは、「アーティスティックでクリエイティブな開放性の高い性格の人」「曖昧さに対する耐性が高い人」が、豊かな夢を想起します。
みた夢の内容によって、その人の記憶の構造がわかる、すなわちその人の歴史がなんとなくわかるときが、夢の調査をしていて一番おもしろいと感じる瞬間です。対面でお会いしたことのない方でも、その方の人生に一瞬ふれられるような気持ちになります。
意外な人物が
夢に出てくる理由とは?
夢の中では「起きている間にうまく整理できなかった情報や感情」を整理し、カテゴリー分けしているのですが、このとき古い記憶の中から同じカテゴリーに類する情報がたまたま引き出され、「なぜこんな人が(物が)?」と思う人や物が夢に出てくることがあります。