意外な人が夢に出てくると、「深層心理では自分はその人が好きなのかと思った」といったような話も聞きますが、実際のところは、単純に処理したい情報と「名前の音韻が似ている」「同じ世代や年代」などの理由で、たまたま夢に出てきたにすぎない可能性があります。

 または「謝りたかった」「認めてほしいのに認めてもらえない」など同じ感情のカテゴリーに入っていたことで、まったく予期しない人が出てきたとも考えられます。

「夢に出てきた人を好きになってしまった」というのは、夢を誤って解釈した結果といえるでしょうか。夢にみた情報をその人がどうとらえるかには個性があり、夢と現実を考えるうえでおもしろいところです。

 夢の内容に記憶が取り込まれる場合にはタイムラグがあり、体験当日や翌日に夢に出てくるだけではなく、6、7日目に遅れて出てくることもあります。基本的にはそのときに体験したイベント、記憶(入力された刺激)、懸案の事項や未解決の課題が夢にでてくることが多いです。

 考えまいと意識することで逆に夢に出てくるリバウンド効果も指摘されています。

 みた夢を「予兆的な夢」ととらえることは、不安をかきたてます。悪い夢を予兆ととらえてネガティブな自己成就をおこさないようにするのがポイントです。

 ここで、80代女性Iさんがみた夢を分析してみましょう。

70代の妹が「コロナになって辛い、辛い」と言っていた夢をみました。
起きたあと、何かあったのかと心配になって、自分の50代の娘から妹に連絡をとってもらったところ、「自分(妹自身)は元気だが、実は、娘一家の3人がコロナにかかって自宅療養している。かといって、自分が高齢のため看病にもいけず大変だった」そうです。

 夢を引き起こした直近の出来事の背景として「お互い高齢で、しばらく連絡がないことを気にしている」「連日のコロナ感染爆発のニュースによる不安」があると考えます。

 この年代の夢の特徴として、「健康不安」や「死別」がありましたね。このようにコロナ禍で不安が高まっているときの夢は、何かの予兆かお告げだろうかととらえる人もいます。