この方は自分のみた夢を、「自分のもとに妹が生霊になって出てきたのか」と考えていました。実際には違った、いや、違うかどうかは検証しようがないのですが、妹の心配が自分にも伝わったと考えているかもしれません。

“人生の見直し”を始める中高年世代は
自分の履歴や過去の出来事が夢に出てくる

 個人的には、数年に一度か10年に一度くらいの周期で、宇宙や天体の夢など、とても鮮明で素敵な夢をみるのでそれを楽しみにしています。

 宇宙旅行をしたいというタイプでもないし、なぜ宇宙や天体なのかはよくわかりませんが、いつもそこに変わらずあるものなので、なんとなく励まされるような気がしています。「自分の人生を自然な成り行きにゆだねる」といった私自身の考えが強く現れているのかもしれません。

 最初にみたのは、私が24~25歳くらいのときで、「太陽と月」を両脇に抱えてにっこり笑っている夢でした。当時、研究と臨床活動の両立に悩んでいたので、のちに「太陽と月」はそれぞれ「研究と臨床」を反映したものだととらえ、十分ではないが両方を大事にする生き方を選びました。

 その後、銀河が光り輝く夢を2回みたあと、最初の「太陽と月の夢」から25年経ってふたたび太陽と月が出てくる次のような印象的な夢をみました。

カンファレンス(学術大会)のお世話で大型の旅館に到着する。
「2種類から部屋を選べる」とおかみさんが言うので、入口から遠いほうの部屋を選ぶ。おかみさんが不愛想で、苦笑しながら遠い部屋まで案内された。
どんどん歩いていく。宿の近くに海があり、海岸線まで月と星を見に行く。
大きな太陽と月が見えて、「ああ太陽と月は双子なんだねー」と両手を伸ばし、太陽と月に右手と左手でそれぞれ触る。大きな葛餅か水まんじゅうに包まれてひんやりとして、プニョプニョしている。

 ヒンヤリとした真ん丸の葛餅の中に「太陽」と「月」がそれぞれ金細工のように入っていた不思議な感じに本当に驚きました。でも何か未知の世界に足を踏み込むような感動を得ました。

 それにしても、四半世紀経って「太陽と月の夢ふたたび」です。中年期に入り、青年期にめざしたもの、「研究と臨床」と認識した「太陽と月」を、どのように社会に還元していくか。葛餅や水まんじゅうなど、みんなが食べやすい形にして提供することについて考える時期にきたと自分では考えています。

 また「両腕に抱える」必死さから、「地上に立って両手で触る」余裕もでてきたのかなと感じます。

 先述のとおり発達心理学では、青年期は広がる可能性の中で進路を選択して自分の人生を形成しはじめること、つまりアイデンティティの確立が課題です。中高年世代は人生の折り返し地点となり、選択しなかった(捨てた)可能性などを考えて悩むわけです。

 このように中高年期は自分の人生のさまざまな見直しをはじめていきます。そこで“この生活のままでいいか”などの見直しとともに、自分の履歴をたどるような形で、過去の出来事が夢にでてくることもあるのでしょう。