中国の住宅販売は再び鈍化している。これは中国の経済成長にとって懸念すべき事態だが、同時にもっと大きく深刻な問題の症状かもしれない。新型コロナ禍後の中国経済の再開をきっかけに年初に反発した同国の不動産市場は、再び下落傾向となっている。販売額も価格も下落に転じた。6月の購買担当者指数(PMI)にみられる労働市場の弱さ、弱いインフレ率、依然として緩やかな消費など、経済の他の不確実性と相まって、不動産の低迷は、中国がいわゆる「バランスシート不況」に入りつつあるとの懸念を呼び起こしている。中国の不動産情報を提供する中国房産信息集団(CRIC)によると、中国の不動産デベロッパー上位100社の販売成約額は、5月の前年同月比7%増に対し、6月は28%減となった。上海がコロナの封鎖から解放された昨年6月の水準が高かったことによるベース効果が、恐らくこの落ち込みに寄与した。だが販売数はどんな基準で見ても精彩を欠いており、ノムラによれば、2020年、21年の6月の水準の3分の1程度にとどまった。