日経平均株価が上昇気流に乗る中、トヨタ自動車の株価純資産倍率(PBR)がようやく1倍を上回った。日本で最も稼いでいる企業が“解散価値スレスレ”の攻防から脱出できたのはなぜなのか。特集『決算書で読み解く! ニュースの裏側 2023夏』(全27回)の#9では、上場企業を対象にした「六大ランキング」を基に、最新決算のトレンドを徹底解説する。(ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子)
次世代バッテリーの実用化計画で
低調だったトヨタ株価が急騰!
日経平均株価がバブル崩壊後の高値水準となる中、日本で一番稼ぐ企業、トヨタ自動車の株価が株式市場の耳目を集めている。
5月の2023年3月期決算では好業績を収めたにもかかわらず、トヨタの株価純資産倍率(PBR)は企業の解散価値である「1倍」を割り込む足踏み状態が続いていた。ところが、6月13日に電気自動車(EV)に搭載される次世代バッテリー“全固体電池”の実用化計画が公表されたことを受けて、株価が急騰。PBR1倍を回復した。
トヨタといえば、4月に佐藤恒治社長による新体制が発足したばかり。社長就任後、矢継ぎ早にEVや車載電池の大投資計画を掲げていながらも、PBR1倍を割り込んだままだった。
それにもかかわらず、トヨタのPBRが急回復した理由はどこにあるのか。次ページで、その理由を明らかにする。併せて、大手上場企業を対象に、PBRや外国人株主比率、増配率など今、押さえておくべき指標による「六大ランキング」を大公開。23年3月期における最新決算のトレンドを読み取ろう。