避難所で暖を取る人たち災害時に避難所などで受ける医療、医療費はどうなるのか Photo:kyodonews

大雨や台風など自然災害が多発するシーズンになった。自分が被災者になり医療を受けなければならなくなったとき、どうすればいいのか?実は被災時には通常と違う医療の仕組みが適用され、その費用が免除されるのだ。連載『医療費の裏ワザと落とし穴』の第263回では、もしものときのために知っておきたい災害時の医療の仕組みについて取り上げる。(フリーライター 早川幸子)

災害救助は現物給付が原則
避難所での医療は誰でも無料

 6月から7月にかけて、各地で大雨や台風による被害が出ている。

 これまでに災害救助法の対象となっているのは「令和5年梅雨前線による大雨及び台風2号による災害」による地域が、茨城県、埼玉県、静岡県、和歌山県の5市1町(2023年6月7日現在)。また、「7月7日からの大雨による災害」では、青森県、秋田県、富山県、島根県、福岡県、佐賀県、大分県の36市町村に及んでいる(2023年7月15日現在)。

 災害救助法が適用されると、避難所の設置や、仮設住宅の提供などが行われるほか、医療の提供体制も特別な措置が取られることになっている。今回は、災害時の医療費について、改めて確認しておきたい。

 災害救助法は、大雨や台風、地震、津波などの災害時に、国や自治体が必要な救助を行い、被災者の保護と社会秩序の保全を図るために作られた法律だ。

 一定数以上の住宅に被害が出たり、多くの人命や身体に危害を受けたり、またはその恐れがある場合に、市町村の情報提供に基づいて、都道府県知事が災害救助法の適用を決定する。法が適用された市町村には、都道府県と国から救助費用が助成されるので、円滑に被災者の救助ができるようになる。

●被災時に避難所で提供される医療は、保険証の提示は不要で無料で受けられる
●健康保険証や所持金なしで病院や診療所で医療を受けられる。被災状況に応じて自己負担分の減免もある