LGBT擁護派と反対派の争いは
大統領選の争点に
LGBTの権利が急速に拡大することへの反発を強める保守派は、共和党支持者の多い州を中心に、LGBTの人々の医療行為や学校における性的指向や性自認の教育、スポーツ競技への参加などを規制(または禁止)する州法を続々と成立させている。
その先頭に立っているのがフロリダ州のデサンティス知事だが、米国では今年に入り、各地の州議会に提出されたLGBTの権利を制限する法案の数が去年より200以上も増え、6月半ば時点で過去最多の491に上っているという(米国自由人権協会の調べ)。
このような状況の中、バイデン大統領は6月のプライド月間にホワイトハウスでLGBTの人々への支援を示すイベントを開催し、「彼らの権利を守る」と決意を新たにした。一方、共和党はデサンティス知事やトランプ前大統領がLGBTの権利を制限する姿勢を明確にし、この問題は2024年大統領選の争点の一つに浮上してきた。
民主党にとってのグッドニュースは、各種世論調査で米国人の約6割から約7割が同性婚などLGBTの権利を支持していることに加え、民主党支持者の割合が比較的高い若年層でLGBTの人が増えていることだ。
2022年のギャラップの調査では、成人に達したZ世代の米国人の21%がLGBTであると認識し、ミレニアル世代でもその割合は10.5%に上ることがわかった。LGBTの人がこれだけ増えたら、これはもはや一部の人々の問題とはいえないだろう。
このような中で、LGBTの権利を巡る問題が次の大統領選の結果にどの程度影響を与えるのか注目される。
(ジャーナリスト 矢部 武)