社内プレゼンはビジネスパーソン必須のスキル。ところが、多くの人が苦手ではないでしょうか? 何度も却下されたり、差し戻しにあったり……。そこで、ソフトバンクで孫正義氏から「一発OK」を何度も勝ち取った著者が、秘伝の『社内プレゼンの資料作成術』を全公開。シンプルな資料で100%の説得力を生む、「超」実践的なノウハウをお伝えします!(初出:2015年7月21日)

孫正義社長が「一発OK」を連発した社内プレゼン、2つのポイント!【書籍オンライン編集部セレクション】Photo: Adobe Stock

孫正義社長に鍛えられたプレゼン技術

 社内でのプレゼンテーションは、ビジネスパーソン必修の基本スキルです。
 どんなに練り上げた企画や提案も、経営者や上司からゴーサインを得なければ、一歩も先に進めることができません。そのためには提案内容をわかりやすく伝え、決裁者を納得させるプレゼン・スキルが必要不可欠だからです。

 ところが、これが苦手な人が多いのではないでしょうか?
 何を隠そう、私自身がそうでした。社内プレゼンを学ぶ機会などありませんでしたから、すべて“自己流”。若い頃は失敗の連続でした。何度も却下されたり、再提案を求められたりしたものです。

 これが、厖大なムダを生み出しました。再びプレゼンの内容を練り直すのに時間がかかるのはもちろん、何より、次のプレゼンまでに1~2週間、ときには約1ヵ月のブランクが空きますから、その間、プロジェクトを進めることができないのが大きい。これは、会社にとっても重大な機会損失。そのような失敗が積み重なると、社内での評価はガタ落ち。社外も巻き込んだプロジェクトであれば、社外からの信頼も失ってしまいます。

 だから、私は試行錯誤しながら社内プレゼンのスキルを磨いてきました。
 特に、ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)に勤めるようになってからは随分と鍛えられました。何しろ、トップは孫正義社長(現会長)ですから、意思決定のスピードが速い。次々と降りてくる課題への対応策を考えて、プレゼンをしなければなりません。しかも、会議に付議される案件が多いため、一件のプレゼンに与えられるのは3~5分。その場で「1分でやるように」と指示されることもありました。

 だから、簡潔で的を射たプレゼンができなければ、それだけでアウト。鋭い指摘を浴びせられて立ち往生したこともあります。特に、孫社長を前にプレゼンするときには、強い緊張を強いられたものです。しかし、だからこそプレゼン・スキルを磨き上げることができました。3分のプレゼンで「一発承認」される確率が確実に上がっていったのです。

プレゼン技術で評価がアップ

 これが、いつしか社内で評価されるようになりました。
「君のプレゼンは通る確率が高い」と、直属の上司のみならず、他部署のトップからもプレゼン資料の作成を依頼されるようになったのです。

 孫社長の後継者育成機関であるソフトバンクアカデミアの第1期生に選抜されたときには、私の事業プレゼンが第1位を獲得。それを機にグループ会社をはじめ多くの業務に従事することとなりました。また、孫社長が行うプレゼンの資料を作成するチャンスも何度もいただくことができました。

 その後、役職が上がり、部署を任せられるようになると、それまでに培ったプレゼン・スキルを部下たちに徹底的に伝授。プレゼンのやり方をルール化することで、部署内の意思決定スピードを速めることに成功しました。もちろん、私の部署が提案する事業プレゼンもロジカルなプレゼンとなっていき、採択率が上がりました。その実績が評価され、社内認定講師制度のプレゼン講師を拝命。私のやり方を実施した部署で、決裁スピードが1.5~2倍になることが実証されました(会議1時間当たりの決裁数で測定)。

 1年前に独立してからは、ソフトバンクはもちろん、ヤフー株式会社、株式会社ベネッセコーポレーション、大手鉄道会社などの社内プレゼン研修を歴任。多くの会社が意思決定スピードを上げるために、社員のプレゼン・スキルの向上に強い意欲をもっていらっしゃることを実感しています。