日本の少子高齢化、労働人口の減少傾向はとどまることを知らない。これらは当然、経済成長の低迷に直結するものであり、国内の閉塞感の原因でもある。ネット上で繰り広げられる「炎上」や「議論」も、これらの閉塞感とつながっている。(フリーライター 鎌田和歌)
死者最多156万人、
「日本の危機」という共通認識
「死者最多156万人」がTwitter改め「X」のトレンドに上がったのは、7月26日午後。これは産経新聞が報道した「日本人、初めて全都道府県で減少 人口動態調査 死者最多156万人」の拡散によるものとみられる。
記事によれば、日本人の人口は14年連続のマイナスで、出生者が77万1801人で過去最小となる一方で、死者は最多の156万5125人だったという。
これについてネット上では、多くの人がさまざまな主張をしている。
少子高齢化に関する政治の責任を問う人、死者数増加はコロナが原因だという人やワクチン接種が原因だと陰謀論を訴える人…また、記事では外国人の人口の増加にも触れられていることから、外国人に対する差別的な投稿も見られた。
それぞれが日頃からの主義・主張に沿ってさまざまな投稿をしているが、ほぼ共通しているのは、今が日本社会にとっての危機であり、由々しき事態だという認識だろう。
世代が上がるほど人口が増える、人口の逆ピラミッドのいびつさは、年々上がっていく真夏の最高気温と同じく人を不安にさせる。
少子高齢化や労働人口の減少は、ここ数十年にわたって日本社会で問題が指摘され続けているにもかかわらず、その打開策が打たれる気配はない。社会の中では、もうあきらめムードが蔓延(まんえん)してしまっているような状態だ。
この停滞に拍車をかけるような話題が最近も続いた。