写真:ビッグモーター・兼重宏行前社長記者会見に臨んだビッグモーターの創業者である兼重宏行氏 Photo:JIJI

謝罪会見の場で、新社長が涙を流して再建を誓ったビッグモーターだが、会見における経営トップの他人事のような態度に加えて、過去にも会社が関与したとみられる不祥事を報じられており、救いようがないという感情を禁じえない。代替企業が数多く存在する中、今後もビッグモーターに中古車の売買や車の修理を依頼しようと思う消費者はどれほどいるのだろうか。(イトモス研究所所長 小倉健一)

ビッグモーターの謝罪会見は
「開いた口がふさがらない」がぴったり

 中古車販売会社ビッグモーターの創業者である兼重宏行前社長は、7月25日に記者会見を開いて社長辞任を発表した。兼重氏は謝罪した上で、一連の問題の責任をとって7月26日付けで社長を辞任、兼重氏の息子の兼重宏一氏も副社長を辞任することになった。後任の社長には、専務取締役だった和泉伸二氏が就任した。

 ビッグモーターの特別調査委員会がまとめた報告書によると、同社従業員は修理の依頼を受けた車体にゴルフボールなどを使って傷を付け、損害保険会社側に保険金を過大請求していた。国土交通省は和泉社長らへの聴取を受け、7月28日に全国34店舗への一斉立ち入り検査に踏み切った。

 道路運送車両法施行規則62条には、「依頼されない点検・整備を不当に行い、その料金を請求しないこと」と定めがある。最終的に違反が認定されると、民間車検場の指定や工場の認証取り消し、一定期間の業務停止になる可能性があり、指定や認証が取り消されれば2年間は再取得できないことから、経営への大きな打撃となることは間違いない。

 それにしても、謝罪会見を見ていて、「開いた口がふさがらない」という表現がぴったりなほど肩透かしに終わった会見だった。過大請求の規模から考えて組織的な関与を疑った消費者、国民も多かったのではないだろうか。