インフレ退治の通信簿
新興国に軍配
コロナ禍とウクライナ戦争が引き起こした高インフレへの金融政策面での対応で、先進国と新興国の明暗が分かれている。
欧米先進国の中央銀行は、供給要因主導で始まった高インフレを当初一過性と認識して対応が遅れた。その後慌てて引締めに転じたが、インフレは中央銀行の予測を何度も裏切って下げ渋り、後手に回った引締めは予想を超えて長期化して終わりが見えない。
一方、新興国では22年中のピーク時のインフレ率こそ先進国より高かった国が多かったが、その後は順調にインフレ率が低下を続け、先進国のような下げ渋りがあまり見られない。
当社(オックスフォード・エコノミクス)のインフレ予測では、先進国の予測が今年に入って上方修正を続けてきたのに対し、新興国は据え置き或いは下方修正する傾向が目立つ。
インフレ見通しの抱えるリスクについても、先進国が更なる上振れが懸念される一方、新興国はむしろ下振れリスクを心配し始めている。
この結果、新興国では利上げ打ち止めや利下げに転じた中央銀行の割合が増えている(図表1)。これが追い風となって、新興国は成長予測も上振れ気味だ。