ドル円相場は「米金利と投機筋の持ち高」で読め、ノイズに惑わされると株も金利も見失うPhoto:PIXTA

ドル円は、昨年10月151円、今年1月127円、さらに最近145円から数日で138円と、値動きが激しい。これは米金利サイクル上方の曲がり道に典型的な波乱展開だ。ドル円相場は主に米金利、すなわち米ファンダメンタルズに沿って動く。日本と海外金利差の拡大時には、リスクに敏感な投機が集まり、米国、日本のみならず、世界の動向を探るシグナルとして重宝する存在だ。(楽天証券グローバルマクロ・アドバイザー TTR代表 田中泰輔)

ドル円相場は米金利で
読むのがキホン

 ドル円相場は、まず米金利に沿って動く傾向がある。ただし短期取引が多く、相場の上でも下でも投機がかさむと、波乱が生じやすい。

 特に、米金利サイクルの大底間近と目される2割圏内、天井が近いと目される2割圏内では、短期金利より長期金利が早く方向転換しがちなため、相場を撹乱(かくらん)させやすい。これを知っているだけで、ドル円相場の大局はかなりよくつかめるはずだ。

 本来、為替相場は内外金利差で読む。ただし、ドル円に限っては、米金利だけ見ていれば事足りる。日本の金利が長年ゼロ%近くで動かないためだ。

 米金利上昇でドル買いしようという投機筋にとって、この分かりやすさ、そして、日本の金利が上がる可能性が最も低いことは、円を売る側の通貨として真っ先に選択しやすい。

 こうして、ドル円は米金利に非常に密接に動き、投機が煮詰まった相場の波乱も分かりやすく起こる。なお、膨れ上がった投機ポジションの巻き戻しは雪崩現象に似ている。ささいなきっかけで起こり、雪崩自らが滑落しながら大きく周りを巻き込む展開が起こり得る。

 このため、雪崩が起きそうという情勢は判断できても、いつ起こるか、どの程度の大きさかは予見不可能で、起こってみて初めて「ああ、やはり」と、機動的に対応する構えを保つのみである。

 次ページでドル円変動の基本を実際の展開で確認する。