米大型テック株「年35%成長」の前提は高すぎる、23年下半期の米経済は減速必至Photo:PIXTA

2023年の上半期、米国の主要な株価指数の上昇率はいずれも2桁台。しかし、指数ごとの上昇率には大きなばらつきがあった。少数の超大型テック株が占める比率が大きい指数ほど上昇率が高くなった。超大型テック株の上昇の前提には過度の成長期待がある。そうした株への投資には慎重になるべきだ。(クレディ・スイス証券 ウェルス・マネジメント チーフ・インベストメント・オフィサー・ジャパン 松本聡一郎)

23年下半期の投資戦略を考える上で
分析すべきは金利と米国の景気・株価動向

 2023年は折り返し地点を通過し、下半期に入っている。この上半期を振り返ってみると、世界経済は思っていたよりも打たれ強く、マーケットのセンチメントも安定していた。

 日本は海の日の3連休を終え、米国では7月4日の独立記念日を過ぎた頃から、一気に夏のバケーションシーズンに向けた気分が盛り上がってくる。

 23年の夏、マーケットのセンチメントが堅調さを維持しサマーラリーとなるか、先行きへの確信のなさから夏枯れ相場となるか。今年の下半期のマーケットを占う上でも、興味深いタイミングになってきている。

 このタイミングで、下半期に向け投資戦略を考えている投資家に与えられた宿題は主に2つあるだろう。

 一つは、金利に関すること。インフレを抑制するため、欧米各国は利上げを続けてきた。この利上げが、いつまで続くのだろうか、上昇してきた金利はピークアウトしていくのだろうか、ということである。

 もう一つは、米国の景気と株価である。上半期、米国経済は年初に考えていたより堅調に推移してきた。だが決して成長が加速していたわけではなく、成長を刺激するような政策を打ち出したわけでもない。

 しかし、米国の主要な株価指数は2桁上昇となったのである。この理由は何か、そして持続可能なものなのか?という問いへの答えも求められている。次ページ以降検証していく。