22年11月のリリース以降、「ChatGPT」は瞬く間に社会へ浸透した。実際に、ハーバードビジネススクールも「アイデアを引き出すのに有効なツール」として捉えている。しかし、同校のジェフリー・ジョーンズ教授は、「ChatGPTの回答では授業で良い点は取れない」という。なぜだろうか?(聞き手/作家・コンサルタント 佐藤智恵)
ハーバードはChatGPTを
「アイデアを引き出すのに有効」と捉えている
佐藤智恵 アメリカの大学では、対話型AI(人工知能)の「ChatGPT」を利用する教員や学生が増えていると聞いています。ハーバードビジネススクールの教員や学生はどのように使用していますか。
ジェフリー・ジョーンズ 私自身はいまだ使ったことはありませんが、ハーバードビジネススクールではすでに多くの教員がさまざまな用途で使用しています。教員はChatGPTの有料版を経費で購入することが承認されていますし、学生も条件つきで利用することが容認されています。
なぜ学校側が公式にChatGPTの使用を許可しているかといえば、「アイデアを引き出すのには有効なツールだ」と認めているからです。
ただし、教員も学生も、ChatGPTで得られた情報をうのみにするのではなく、必ずファクトチェックをすることが義務付けられています。
佐藤 これまで学生が使用しているのを見て、「これは危険なツールだな」と実感した経験はありますか。
ジョーンズ 学生の使用を巡っては、すでにさまざまな問題が出てきています。