暗号資産(仮想通貨)交換業世界最大手のバイナンスは、中国が2021年に仮想通貨取引を違法とした際、同国から撤退するはずだった。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が確認した社内データや現・元従業員によると、それから約2年後、中国のユーザーによる仮想通貨関連資産の取引高がひと月で900億ドル(約12兆9000億円)に達した。これにより、バイナンスにとって中国は2位以下を大きく引き離す最大の市場となり、一部の超大口トレーダーによる取引を除けば、世界全体の取引高の20%を占めるようになった。現・元従業員の一部によれば、バイナンスにとっての中国の重要性は社内で公然と議論されている。また、仮想通貨取引が禁じられたにもかかわらず、同社の調査チームは中国の法執行機関と緊密に連携し、同国の90万人を超えるアクティブユーザーの潜在的な犯罪行為を検出しているという。