売れる商品やサービスをつくるのは難しいものと思いがちだが、「仮説力」「商品企画力と伝わる力」「商品への想い」という軸があれば、経験がない人でもヒット商品を生み出せる。新刊『うまいを上手く伝えて売れるを作る驚きの商品開発術』の著者に、ヒット商品づくりのポイントを聞く。

「仮説力」があれば1年目でもヒットを生み出せるPhoto: Adobe Stock

お客様が何に困っているのか
お客様の「不」を知ることが大事

 私たちは、ヒット商品を生み出し、お客様の生活をより豊かにするために「商品開発塾」を開講しました。最初の生徒は大手スーパーマーケットのバイヤー4人で、そこからスタートしました。

 本当にごく小規模で始めた塾でしたが、幸いメンバーからご好評をいただき、2年目に入り、同社のバイヤー全員を集めて2時間の講座を行うことになりました。

 とある日の2時間の講座を終えたときでした。参加してくださったバイヤーの一人が私に声をかけてくれました。

「私はバイヤーとして麺の担当をしています。新たな視点でお客様が本当に喜ぶ商品をつくりたいと思っています。自分がやりたい商品は何なのか? ゼロベースで取り組んでいきたいので、ご指導をお願いします!」

 彼は新人バイヤー。熱い想いが真っすぐに伝わり、自分の新人時代と重なりました。

「どんな商品をつくりたいのか、学んだことも踏まえて提案してきてほしい」

 まずはシンプルに言葉をかけました。

 そして数日後、彼が提案してきたのは、なんと「こだわりのカレーうどん」でした。

 麺類の中でもそれほどマーケットの大きい商品ではありません。ラーメンや焼きそばなどのほうが明らかにマーケット規模は大きいのです。しかし、彼は「自社開発商品のおいしいカレーうどんをつくりたい!」との想いが強く、驚くことに、すでに来期の商品開発の計画について担当部長の承諾を得てきていたのです。

 商品づくりへの想い、「カレーうどん」のマーケットでヒット商品を生み出したいという想いが伝わり、わくわく感が私にも湧いてきました。

 そして最初にアドバイスをしたのは、お客様が何に困っているのか、つまりお客様の「不」を知ることだと思い、「まずは売場でお客様の声を聞いてみたらどうか?」と、現場のリアルな声を直接聞くことを彼に話しました。