ドライヤーを使わない自然乾燥は
濡れ雑巾を放置しているのと同じ
川口氏によれば、特に男性は清潔感の基本のキができていないケースもあるという。それは、髪形以前のヘアケアの問題だ。
「夏場だと多いのは、暑いし、髪の毛が短いからとドライヤーで乾かさず、自然乾燥させるケースです。ドライヤーで乾かさないと、頭皮で雑菌が繁殖するので、フケの原因になります。頭皮の臭いの最大の原因もこの自然乾燥によるものです。濡れた雑巾を放置すると臭いが発生するのと同じことなんです。そのため、ドライヤーによる乾燥は、清潔感を保つための『1丁目1番地』です」
また、シャンプーやトリートメントをしっかり洗い流さないことも雑菌の繁殖につながるそう。「トリートメントのヌルヌルが残っていたほうがいいのでは、と考えてしっかり洗い流さない人も意外と多い」と川口氏は指摘する。
「ただ、短髪だったらトリートメントは必ずしもしなくていいです。短髪だとそこまで髪の毛がダメージを受けないので、じつはシャンプーだけで十分なんです。私もフロント部は少し長めですが、シャンプーしかしていません。なので、短髪の場合はトリートメントよりもシャンプーにこだわったほうがよいと思います」
こうしたヘアケアの上に成り立つのが、清潔感を印象付ける髪形である。
「迷ったら短く、と言いましたが、具体的には肌の露出をしっかりさせることが重要です。前頭部分は長くても、耳はしっかり出し、襟足もすっきりさせる。一昔前は襟足が長いことが当たり前でしたが、今はごく一部でしか流行していないので、清潔感を出すには、襟足は短いほうがいいのです」
ただ、いざ髪を切るとなっても、数ある美容室から自分に合っている店を選ぶのはおっくうに感じるものだ。特にミドル世代の男性は「女性客が多い美容室は気まずいし、行きづらいと感じ、結果的に1000円カットを選んでしまう人が多い」(川口氏)のだそう。そうした、格安なカット専門店の品質が悪いわけではないが、実際、美容室に行きたくても行けない人が来店するケースも多いという。
では、こうした男性はどのように美容室を選べばよいのか。
「最近は都市部でメンズ専門の美容室も増えていますから、検索などすると近隣の店舗がわかると思います。メンズ専門である弊社の店舗も、10代の若者から、つえをついてくるおじいさんまで幅広い年代が訪れていますよ。また、SNSで男性のカットだけを載せている美容師さんもいます。彼らは男性のお客さんをメインにしているので、そのような美容師さんが所属するお店に行くのもいいでしょう。30代、40代などのスタイリストも多いので、年齢の近い人を指名すれば、気兼ねなく髪形の相談もできます。一方で、女性のスタイリストさんに『女性から見て、好感が持てる髪形にしてほしい』とお願いする男性もいますから、気軽に来店し、オーダーしてみてほしいです」
髪をしっかり乾かし、おでこを出して、来たるビジネスチャンスに備えよう。