アプリだけではない
中国製自動車の脅威

 注意すべきは、アプリだけではない。

 中国製電気自動車(EV)の日本進出が進んでいる。

 テスラを抜き、EV販売台数世界一となった中国自動車メーカー「比亜迪(BYD)」が日本に本格進出を開始、既に日本の交通機関にも食い込んでおり、京阪バスが京都市内を走る路線においてBYD製EVバスの運行を始めている。

 ちなみに、このBYDであるが、BYDの日本法人社長の劉学亮氏が、東京新聞の取材に対し、「2010年に、金型メーカー・オギハラの館林工場を買収し、この金型企業から日本のものづくりを勉強できた」と話したという。

 このオギハラは、当時世界一の金型加工技術を持っていたとされ、まさに、経済安全保障の技術流出例の典型例であった。

 さて、BYDを例になぜ中国製自動車が危険なのかを述べてみたい。

 中国政府の動きがヒントとなる。

 中国はテスラ社製自動車の軍施設や軍関係者の居住地などへの乗り入れを禁止している。

 その理由は、自動車のGPS情報による施設内の主要場所の把握や車載カメラの動画情報など多くのデータが収集されることを警戒していることにあるとみられる。

 これはつまり、路線バスなどに加え、例えば宅配業者に中国製自動車を普及させ、自衛隊基地に出入りすることが可能になれば、基地内の施設の場所が容易に把握できることを意味している。

 また、「動くスマートフォン」といわれる現代の自動車においては、例えばコネクテッドカーにおいては、ハッキングやバックドアによってナビでの検索履歴はもちろん、過去の移動ルート、さらには電子メールやメッセージ、通話履歴にアクセスされる危険性も指摘されている。

 中国は各国のインフラに中国製自動車を普及させることにより、自動車を通じて相手国の多大な情報を収集することが可能となる。