この自動車整備事業の転換に合わせるように、自動車保険事業が収入保険料の半分を占める損害保険業界もまた2000年代に合併・統合が進み、08年のリーマンショックの際には、厳しい環境下で急速な大再編が進んだ。10年度には、現在の東京海上ホールディングス(HD)、MS&ADインシュアランスグループHD、SOMPO HDの大手3グループ体制に集約した。
損保業界と自動車販売業界との関係は、自動車保険(自賠責保険と任意保険)の取得と保険手数料収入確保を目指し、かねて損保各社はいかに販売・整備業に食い込むか、という競争が続いていた。
例えば、MS&ADに統合された旧千代田火災はトヨタ系列で、メーカーのトヨタ自動車から千代田火災トップに首脳を送り込まれる人事もあったほどである。
損保サイドから言うと、法律に基づき運用される強制保険の自賠責保険には、損失も利益も出さないよう収支を調整する「ノーロス・ノープロフィットの原則」がある。自賠責保険料は一律に決められるため、損保会社はどれだけ多くの契約を獲得しても保険による利益は発生しない。
ただし、自賠責の保険料は自動車保険の収入として計上される。その金額は各社の市場規模シェアを示す指標になる。自賠責を足掛かりに任意保険で契約を増やすという戦略もあることから、損保サイドとしても自賠責の契約を伸ばすことは重要だ。
そうしたことから、自賠責保険の割り当てを回してくれるビッグモーターのような大手との関係は重視される。