米国で集合住宅は安全な不動産投資先だと長年考えられてきた。だが、苦境に陥っている商業用不動産で、次の主なトラブルの種として浮上しつつある。着実に上昇する賃料や並外れて大きな利益見通しに引き付けられ、投資家は長年、集合住宅の価格をつり上げてきた。多くの人が、借金を返済するのに十分なペースで賃料を上げられると見込んで、過大な借金を抱え込んだ。リモートワークや電子商取引の普及で大きな打撃を受けているオフィスビルやショッピングモールとは異なり、賃貸の集合住宅は空室率が低い。マンション部門の主な問題は需要不足ではない。賃料は2020年以降に急上昇している。問題は金利だ。昨年に借り入れコストが急上昇したことで、現在、全米の集合住宅用不動産オーナーの多くが大打撃を受ける恐れがある。情報会社コスターによると、集合住宅の価値は6月までの1年間に14%下落した。前年には25%上昇していた。下落率はオフィスビルのそれとほぼ同じだ。