ブレックスは銀行ではないが、ある銀行が経営破綻したことで、多くの新規ビジネスを獲得した。新興企業やテック企業は破綻が迫っていた米シリコンバレー銀行(SVB)から逃げ出し、多くは大きすぎてつぶせない米JPモルガン・チェースなどの大手金融機関に資金を移した。中には資金の一部を米ブレックスに預けた企業もある。同社は法人向けクレジットカードの発行で知られる決済会社だ。ブレックスの預かり資産は現在70億ドル(約1兆円)弱で、SVB破綻前の40億ドルから増加。破綻直前の3月初め以降に開設されたブレックスの口座4000口のうち、80%以上がいまも稼働している。SVBの破綻で、テック業界が利用していた銀行サービスや借り入れが止まり、多くのプレーヤーがその穴を埋めようとしている。SVBの資産を買収した米金融持ち株会社ファースト・シチズンズ・バンクシェアーズは、SVBが持つテック業界の顧客基盤を活用したい考えだ。英HSBCホールディングスやスタイフェルなどの銀行も狙いは同じで、SVBのシニアバンカーを採用している。ブレックスも新興企業の顧客担当として、SVBに16年勤務していたジェイソン・モック氏を招き入れた。