頑張っているのに成果が出ない。どうすればいいのか、途方にくれる人も少なくないだろう。そんな人におすすめなのが、『1位思考──後発でも圧倒的速さで成長できるシンプルな習慣』。「週刊ダイヤモンド」「トップポイント」など数々の書評で絶賛。創業9年目で売上300億円にしたアンカー・ジャパンCEOの猿渡歩氏、初の著書だ。猿渡氏は「適度にサボると生産性は上がる」という。コンサル→ファンド→27歳アンカー・ジャパン入社→33歳アンカーグループ最年少役員→34歳アンカー・ジャパンCEOになった著者が、参入したほぼ全製品カテゴリーでオンラインシェア1位になった秘密は、シンプルな6つの習慣にあった。本書の一部を抜粋しながら急成長の秘密を明らかにしていこう。
「ここぞ」という勘所の見極め
仕事をやっていく中で「ここぞ」という勘所は「何が重要か」を意識しているとわかってくる。
大型セールの企画案がメンバーから上がってきたとき、私が確認するのはごく一部である。
主だったものは、売れ筋製品の在庫準備状況や利益率の妥当性などだ。
もしかしたら、担当者やマネージャーも見すごしたミスはあるかもしれない。
ただ全製品の型番確認など、細かい点まで私が逐一チェックするのは全体最適ではない。
万一間違っても、事業運営上の影響が軽微なら、ダブルチェックの時間は追加のバリューがほとんどない。
どこまで精緻に確認するかは、影響度の大きさとそれにかかる時間や工数のバランスを踏まえて決めるべきだ。
重要なところだけ押さえてすばやく決裁し、早めにメンバーに任せたほうが相対的にうまくいく。
逆にいえば、信頼して任せられる人がいることが重要だ。
チームビルディングのフレームワーク
「タックマンモデル」とは?
ここで、チームビルディングのフレームワークの一つ「タックマンモデル」を紹介したい。
タックマンモデルとは心理学者のタックマンが提唱した組織フレームワークで、チームは形成から散会に至るまで、5つの段階を経て理想的な組織へ成長していくというものだ。
その5つの段階とは、1形成期(Forming)、2混乱期(Storming)、3統一期(Norming)、4機能期(Performing)、5散会期(Adjourning)である(図表5)。
ポイントは、4機能期、つまりメンバーがお互いをサポートしてチームのパフォーマンスが高い状態になるのは4段階目であるという点だ。
だが、チームをつくり、「最初から機能期でないといけない」と思ってしまうと逆にうまくいかないことが多い。
最初の形成期では、お互いのことを少しずつ理解し、次の混乱期では必要な対立があることを理解しつつ、3番目の統一期で目指すべき目的や目標を共有し、ようやく4番目の機能期で機能するチームになる。
そして無事に目的が完遂した後は散会期となり、それぞれが新しい道に進む。
このフレームワークにあるように、チームづくりは時間もストレスもかかる作業だ。
しかし、個人でできる生産性には限界がある以上、チームづくりを避けていると企業の成長は必ず止まってしまう。
いい人材を採用し、育て、すばやく決断し、仕事を任せる。
その分、上長は新しい仕事ができる時間が増え、より速く1位に近づくことができるのだ。
(本稿は『1位思考』の一部を抜粋・編集したものです)