今、「学校に行かない子どもたち」が、とても増えています。小・中学校の長期欠席者は41万人(うち不登校が24万5000人・令和3年度)にのぼり、過去最高を更新しています。本連載では、20年にわたり、学校の外から教育支援を続け、コロナ禍以降はメタバースを活用した不登校支援も注目される認定NPO法人「カタリバ」の代表理事、今村久美氏の初著書「NPOカタリバがみんなと作った 不登校ー親子のための教科書」から、不登校を理解し、子どもたちに伴走するためのヒントを、ピックアップしてご紹介していきます。前回と今回は、医療機関を利用する際に考えておくべき点に関する記事を抜粋します。
不登校で身体症状が出たら……
前回、不登校で腹痛や頭痛といった身体症状が現れた場合、どういった医療機関にかかればいいかをお伝えしました。今回は医療機関にかかる時に気をつけておくとよいことをご説明します。
投薬治療をすすめられて、迷ったら
子どもの精神的な症状に対し投薬治療(薬物療法)をすすめられると、「そこまで考えていなかった、どうしよう……」と、戸惑う親御さんも少なくありません。次のような質問をしながら医師と相談することで、治療プロセスについてイメージしやすくなるかもしれません。
□薬物療法以外にも「今、もしくは後で」考えられる選択肢は何かあるか?
□効果の有無は、どのくらいの期間で判断できるものか?
□投薬治療はどのくらいの期間続けるべきか?
□副作用にはどのようなものがあるのか? 自分で(家族が)注意できることは?
□緊急の場合の連絡はどうしたらいいか?
どんな治療であっても、本人と保護者の納得や理解が重要です。じっくり考えてかまわないと思います。
医療機関との上手なつきあい方
近隣にかかりつけ医を見つけておくことは重要です。長年にわたって成長過程を見守ってくれた医師は、子どもの特性や家庭事情などを理解して対応してくれることが多いからです。
また、専門的な検査や治療を求める場合も、かかりつけ医からの紹介で医療機関を探してもらうのがスムーズです。
リハビリ専門職や管理栄養士など、メディカル・スタッフがいる医療機関は、様々な教室やトレーニングプログラムを提供していることもあります。そういった場でヒントをもらうと、子ども自身や家族がセルフケアするきっかけがつかめるかもしれません。
(カタリバ・アドバイザー 成田慶一 ph.D/臨床心理士/公認心理師)
*本記事は、「NPOカタリバがみんなと作った 不登校ー親子のための教科書」から抜粋・編集したものです。