あなたは毎日、どんな順番でタスクをこなしているだろう。バタバタと仕事に追われるうちに1日が終わっていく……なんてことはないだろうか。
とにかく「仕事が速い人」になりたい! と思ったときにこそ読んでもらいたいのが、『時間最短化、成果最大化の法則──1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』だ。優秀なビジネスパーソンに共通する思考アルゴリズムが、見事に解説されている。
著者は、北の達人コーポレーション(東証プライム上場)社長・木下勝寿氏。ベストセラーとなっている本書は、多くの経営者やビジネスパーソンから評判の一冊だ。
そこで、本書からより深い学びを得ようと、インタビュー企画を実施。今回、本書を読み解くのは、企業現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント・横山信弘氏だ。最新刊『キミが信頼されないのは話が「ズレてる」だけなんだ』や衝撃のデビュー作『絶対達成する部下の育て方』などのベストセラー作家でもある横山氏は、『時間最短化、成果最大化の法則』をどう読み解いたのか。連載5回目は、「仕事が速い人の、1日の過ごし方」をテーマに話を聞いた。(構成・川代紗生)

会社員 残業Photo: Adobe Stock

2パターンのタスク「設定型」と「発生型」

──「どうすれば、仕事が速くなるのか?」は、『時間最短化、成果最大化の法則』の大きなテーマの一つでした。

 そこで、「仕事が速い人」と「遅い人」では1日の最初にやること・1日の最後にやること、どう違うでしょうか? タスクをこなす順番によっても効率が大きく変わるのではないかと思いますが、横山さんが意識していることはありますか?

横山信弘(以下、横山):私がいつも気をつけているのは、「設定型タスク」と「発生型タスク」を区別して考えることです。

──「設定型」と「発生型」とは?

横山:「設定型タスク」とは、将来を見すえて、自分の意思で能動的に設定する仕事のことです。

 反対に「発生型タスク」は、問題が起きてから対処する、受動的な取り組み方のことをいいます。

 たとえば、

・出社してパソコンを開いたら、メールが大量に届いていた。とりあえずメールを一気に返そう
・上司から急に仕事を頼まれた。他にもやることがあるけど、急ぎのようなのでとりあえず引き受けよう
・取引先から「意見交換したいので、会えませんか」と連絡がきた。具体的に何を話すのかわからないけど、とりあえず行ってみよう

 など。

 見通しを立てた上で取り組むのではなく、「とりあえず」で手をつける。

 こういった、発生したからやむをえず処理する仕事が「発生型タスク」です。

「忙しいのでできません」から抜け出せない人の特徴

──どきっとしました。計画を立てないで仕事をしていると、「発生型タスク」に追われて1日が終わる……ということも多いように思います

横山:自分で仕事を設定する、という意志がないと、あっという間に1日が終わってしまうんですよね。

 さて、「1日の最初にやること・最後にやることの違い」という本題に戻りますが、

・1日の最初にやることは「設定型」
・1日の最後にやることは「発生型」

 というように、私はルールを決めています。

──最初が「設定型」で、最後が「発生型」なんですね。

横山:いきなり電話がかかってきて、至急対応が必要なトラブルが発生した……というなら話は別ですが、そうでなければ、まず、1日の計画をつくってから作業に入るなど、自分で「設定」した仕事を最初にもってくるのがおすすめです。

 いちばんよくないのは、「とりあえずメールを返す」「とりあえずSNSをチェックする」など、他人にふりまわされて仕事をやるのが当たり前になってしまうこと。

 「主導権を握ったスケジュール管理」はとても重要です。

 主導権を上司や同僚、会社など、他人に握らせてしまうと、「仕事やったな」という疲労感が蓄積するわりに、何の成果も出せていなかった──というようなことが起こりがちです。

──身に覚えがありすぎます……

横山:たとえば1ヵ月に1回、半休をとって自分を振り返る日をつくるなど、スケジュールをロックしておくのもいいと思います。

 どんどん新しい技術を身につけ、成長できる優秀な人ほど、「投資」の意識を持っています。

 どんなに忙しくても、自己研鑽のために時間を投資する、毎月必ず研修を受ける、毎月必ず本を読む、毎月必ず勉強をしてレポートを書く。

 そういった、自分の成長につながるタスクに時間を割かないと、バタバタとした「発生型」の毎日から抜け出すことはできません。

 「忙しいからできません」というのは結局、自分で「設定する」という意識を持っていないからだと思うのです。

「即レス」=「デキる人」とは限らない

──横山さんは、どのようにスケジュールを決めていますか?

横山:目標達成するために何をするべきかタスク分解しておき、あらかじめ仕事を設定する。

 そして、余った時間で、発生した問題を対処する。

 基本的に、このような方針でスケジュール管理をしています。

 たとえば、メールチェックの時間なども、「毎日10時からやる」など、固定しておくのもいいと思います。

──「デキる人になりたければ、メールの即レスは当たり前」みたいに言われたりもしますが……。

横山:個人的にはむしろ、「すぐに返事を返さない人」というレッテルを貼られるのも、一つの手だと思いますよ。

──「あの人はいつも5分以内に返ってくる、すごい!」みたいに言われたりしますが、横山さんは、返信のスピードはそこまで重要ではないと

横山:私は、24時間以内の返信は「即レス」だと思っています。

 朝に送ったメールに対し、その日の夜や、次の日の朝くらいまでに返信がくれば、まったく問題ないかなと。2、3日経っても返ってこなければ、さすがに「遅いかな?」と思うかもしれませんが……。

 でも、本当に緊急の要件だったら、メールじゃなくて電話をすればいい話ですからね。

──言われてみれば、そうですね。

横山:「即レスしてくれる人」というレッテルがついてしまうと、むしろ、忙しくて返せないときに「なんで即レスしてくれないんだよ」と、相手をがっかりさせてしまう可能性もあります。

 テンポよく返信しよう、相手を待たせないようにしよう、という意識自体はいいと思いますが、即レスさえすれば仕事が速くなるわけでもないし、生産性が上がるわけでもありません。

 「仕事が遅い」という悩みを根本的に解決するには、『時間最短化、成果最大化の法則』に書かれているような、「思考アルゴリズム」の徹底的な見直しが必要だと思います。

 「仕事が速い人に共通する『後でじっくり考えない』法則」や、

 「一目でデキる人と思われる『期限に絶対遅れない人』の法則」など、

 本書ではいろいろな解決策が提示されています。

 じっくり自分と向き合う時間をつくって、働き方をどう変えていきたいのか、改めて考え直してみてはいかがでしょうか。

「仕事が速い人」と「遅い人」、1日の最初にやることの決定的な違い
横山信弘
企業の現場に入り、営業目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の考案者として知られる。15年間で3000回以上のセミナーや書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。現在YouTubeチャンネル「予材管理大学」が人気を博し、経営者、営業マネジャーが視聴する。『絶対達成する部下の育て方』など「絶対達成」シリーズの著者であり、多くはアジアを中心に翻訳版が発売されている。