頑張っているのに成果が出ない。どうすればいいのか、途方にくれる人も少なくないだろう。そんな人におすすめなのが、『1位思考──後発でも圧倒的速さで成長できるシンプルな習慣』。「週刊ダイヤモンド」「トップポイント」など数々の書評で絶賛。創業9年目で売上300億円にしたアンカー・ジャパンCEOの猿渡歩氏、初の著書だ。猿渡氏は「適度にサボると生産性は上がる」という。コンサル→ファンド→27歳アンカー・ジャパン入社→33歳アンカーグループ最年少役員→34歳アンカー・ジャパンCEOになった著者が、参入したほぼ全製品カテゴリーでオンラインシェア1位になった秘密は、シンプルな6つの習慣にあった。本書の一部を抜粋しながら急成長の秘密を明らかにしていこう。
なぜ1次情報が重要?
データはなるべく1次情報に当たるべきである。
企業がアンケート調査から、市場把握や消費実態を読み取ろうとすることは多いだろうし、読者の中には企業側または一般消費者側でこのような調査に関わった人もいるだろう。
だがアンケートに回答するときに、どれくらい真面目に回答しているだろうか。
当社でアンケートを取ると、「どこで商品を購入しましたか」という問いに対し、販売していないチャネルに○をつける割合が一定数いたり、会社の認知度を調べると調査方法が少し違うだけで10%以上の差が生じたりすることすらある。
アンケート調査など何かを介して入手する2次情報を疑い、自分で直接見聞きすることで得られる1次情報を意識する習慣が大事だ。
誤解のないよう補足するが、2次情報も重要であり、当社もアンケートを含めいろいろ活用している。
時間は有限なので関係するすべての1次情報に当たるのは不可能だし、1次情報にこだわっていると事業スピードが遅くなってしまう。
勘所を押さえつつ、ざっくり全体を把握したいときは2次情報を分析するだけで十分なことも多い。
ただし重要な意思決定をする際は、1次情報、つまり自らの目や耳で確認した情報をもとに判断する。
失敗しても成功してもそのほうが納得感があるし、なにより失敗したときに2次情報の提供先は何か責任を取ってくれるわけでもない。
全拠点を事前に視察する理由
アンカー直営店の候補地などは、実際、私も全拠点を事前に視察し、オープン準備にも立ち会っている。
お客様の実際の目線や細かい動線は、現地に行かないとわからない。
該当店舗の投資判断をする際、見ているデータのほとんどは2次情報だ。
周辺人口や商業施設の特設情報などから売上予想などのデータ分析はできるが、それだけでは見落とす情報も多い。
施設に人は多いが、店舗前は動線が悪いから人通りが少ない、街灯が暗く女性は通りたくない道が途中にある、フロア全体の雰囲気がそもそもブランドイメージと合っていないなどである。
現場で自分の目や耳で確認するメリットは肌感覚が得られること。
現場感がないまま、聞いた話や資料などの2次情報だけで出店の判断をすると間違う。
また、出店後、なかなか売上が上がらないときに店長と改善アイデアを議論する際も、現場を見ているからこそより具体的な提案ができる。
2次情報を分析し、1次情報で確認・修正できれば、判断ミスはぐっと少なくなる。
分析はスマートさより泥臭さ
エクセルの分析だけで必要なデータや仮説は揃う、と思わないほうがいい。
一見賢そうな人ほど、パソコン上の分析で答えが出ると思いがちだが、そんな一流ビジネスパーソンは見たことがない。
実際に生産工場でラインを見たり店頭に立ったりすると、会社のデスクでは絶対に気づかなかった発見がいくつもある。
大切なのは、少しでも精緻な仮説をつくること。
分析している自分の姿が「スマートっぽく」見える必要はゼロだ。
(本稿は『1位思考』の一部を抜粋・編集したものです)