圧倒的な成果を出しているようには見えないのに、なぜか「あの人は仕事ができる」と周囲から評価される人がいます。
いったい何が違うのでしょうか。
確実に周囲から評価されている人は、日々の業務で「ちょっとした工夫」をこらし、った大きな差をつけています。
30代で経営者歴10年以上、『20代が仕事で大切にしたいこと』著者の飯塚勇太氏に、仕事のできる人だけがやっている「単純作業」のひと工夫について伺いました。
(編集/和田史子)
正しい努力をしないと評価されない
圧倒的な成果を出していないように思えるのに周囲から高い評価を得ている人、みなさんの職場にもいるかもしれません。
実はそういう人は、日々の業務に「あたりまえ」に「あたりまえ以上」のひと工夫をこらして、周囲との差をつけています。
実にコスパがよく賢いやり方です。
日報を例に説明しましょう。
日報であれば、業務報告として毎日提出するのは「あたりまえ」です。
周りには毎日提出せず、週末にあわてて5日分書くような「あたりまえ以下」の人がたくさんいますから、「あたりまえ」を続けるだけであなたの価値は高まっていくのですが、そこであえて「あたりまえ以上」を目指します。
業務報告に加え、その日に学んだ仕事の考え方・やり方を言語化して、日報に盛り込んでみるのです。
〈日報〉
①ほとんどの人(あたりまえ以下):週末にあわてて5日分の出来事を書く→特に評価されない
②あたりまえができる人:毎日提出する→ちゃんとやっているなと評価される
③あたりまえ以上ができる人:毎日の業務報告+その日学んだ仕事の考え方とやり方を書く→日々、主体的に仕事に取り組んでいるとプラス評価される
④間違った努力をしている人:長文の業務報告を作成し、週末に提出する→残念ながら、①の人とほぼ変わらず、評価されない
③は、私が実際にやっていたことでもあります。
周りが「今日はこれをやりました」という報告に終始する中、私は「今日はこんなことを考えて、これをやりました。その結果、こんなことを考えました」と、自分の思考を言語化して記していたのです。
するとある日、上司から日報の内容をほめられ、「入社してくるのが脅威だと感じる振り返りと考察だ」と言われました(当時は内定者アルバイトでした)。
私はとても意外でした。「こんなことでほめられていいのだろうか」と拍子抜けした感覚です。
内定者や新入社員が仕事中に考えたり、仕事で得たりすることなんて、上司から見れば「大したことのないこと」であるはずです。
しかも、考えずに仕事をする人なんていません。私だけでなく、周りの誰もが考えて仕事をしています。ほかの人が日報に「自分の考え」を書かない中、私はそれを書いた。それだけの話です。
「大したことのない考え」でも、「ほかの誰もが考えていそうなこと」でも、それを「記すか、記さないか」で大きな違いが生まれる。「あたりまえ以上」の威力とコスパの良さを思い知りました。
一方で、④間違った努力をしている人は非常にもったないことになってしまっています。
長文の業務報告を作成することは大変な作業ですが、そのことは評価されることなく、①の人と同じく「週末にまとめて提出してきた人」としか見てもらえないことがほとんどなのです。
「こんなにがんばっているのに、上司はちっとも評価してくれない!」
もしそう感じたなら、自分の仕事が
◯「あたりまえ」基準で見てどうなのか
◯努力の方向は正しいか
今一度、振り返ってみるといいでしょう。
上司の立場になって考えてみれば、自分が期待していること以上のことを部下がやってくれたら、頼もしいと感じ、うれしくなるはずです。そんな部下には、もっと時間を作って、いろいろ教えてあげたいと思うに違いありません。
「あたりまえ」を「あたりまえ以上」にやる。
これはあなたの評価を確実に高める方法であるとともに、自分自身を成長させる最も効果的な方法、つまり正しい努力のしかたでもあるのです。
(飯塚勇太著『20代が仕事で大切にしたいこと』から一部を抜粋・改変しています)
株式会社サイバーエージェント専務執行役員
1990年神奈川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。
2011年、サイバーエージェントの内定者時代に、友人らと開発・運営した写真を1日1枚投稿し共有するスマートフォンアプリ「My365」を立ち上げ、21歳で株式会社シロク設立と同時に代表取締役社長に就任(現任)。2014年、当時最年少の24歳でサイバーエージェント執行役員に就任。2018年株式会社CAM代表取締役、2020年株式会社タップル代表取締役に就任(現任)。2020年サイバーエージェント専務執行役員に就任(現任)。
『20代が仕事で大切にしたいこと』が初の著書となる。