頭痛、耳鳴り、めまい…天気の変化で体調が悪化「天気痛」の予防と対処法とは?写真はイメージです Photo:PIXTA

天気が悪いと体もだるい。頭痛、憂うつ、耳鳴り、めまい、自律神経失調症……。その体調不良は、「天気痛」かもしれない。日本初の天気痛・気象病外来ドクターが、25年におよぶ研究で「天気痛」のメカニズムと改善法を、明らかにする。本稿は、佐藤純『ビジネスパーソンのための低気圧不調に打ち勝つ12の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン出版)の一部を抜粋・編集したものです。

天気の変化が体調に影響する
「天気痛」を科学的に調べた

「天気痛ドクター」こと佐藤純と申します。2005年に愛知医科大学病院で日本初の天気痛・気象病外来を開設し、これまで延べ1万人以上の患者さんを診察してきました。

 私たちの体は天気の変化によって、さまざまな影響を受けています。例えば、寒い時期には脳出血が起こりやすく、季節の変わり目には気管支ぜんそくが起こりやすいといったことがあります。このように、天気の影響を受けて発症したり、症状が悪化したりするものを、昔から「気象病」と呼んでいます。

 その中で、頭痛や関節痛など、特に痛みにまつわる症状を私は「天気痛」と名付けました。「天気痛」というのは、「病気」の種類ではなく、「病態」と考えてもらったほうがいいかもしれません。

 ロート製薬とウェザーニューズが1万6千人を対象に行った調査(「天気痛調査」)によると、女性の43%が「天気痛を持っている」、35%が「天気痛を持っている気がする」と答えています。また、男性の場合も、割合は減りますが、それぞれ回答が20%と27%だったことから、男女を問わず多くの方が天気痛を自覚していることがわかります。

 では、具体的に天気痛の原因は、何でしょうか?

 25年ほど前、あるテレビ番組で「天気と痛みの関係」を調べる実験に協力したことをきっかけに、私は、科学的に気圧と痛みのメカニズムを解明するための本格的な研究に乗り出しました。そして長年の基礎実験や臨床研究により、基本的に天気の崩れるときや、天気の崩れが回復するとき、つまり「気圧による変化」で症状が出やすくなるということを突き止めました。

 これまで、「頭が痛くなる」「憂うつになる」「耳鳴りがする」「めまいがする」など、さまざまな痛みの症状や不調で悩みながらも、病院で検査をしても原因がわからず、職場でも「気のせいだろう」「サボりじゃないか」と周囲の理解を得られなかった方もたくさんいると思います。しかし、その痛みや不調は、もしかしたら「天気痛」なのかもしれません。

 人間は、誰でも気圧の影響を体で感じ取っています。健康と思われる人の場合でも、気圧を下げた部屋や、気圧を少し高くした部屋に入ると、心拍数や気分が変化するということが、私の実験結果からわかっています。