甲子園の出場「最難関」は神奈川県
1割しか出場していない

 一方、出場率が低いのは167校が参加している神奈川県。かつては参加校が200校を超して全国最多だったが、県立高校の統合が進んで、現在は173校の愛知県に次いで2位だ。しかし、甲子園に出たことがあるのはわずか19校で、その比率はわずかに11.4%。

 横浜高、東海大相模高、桐蔭学園高、慶応高、桐光学園高など全国に知られた強豪校が1枠を争っているため、夏の甲子園に無名の高校が出場するのは難しい。

 さらに選抜の21世紀枠でも同県は私立強豪校を候補として推すことが多く、まだ一度も関東・東京地区の代表にすら選ばれたことがない。

 したがって、新しい学校が甲子園に出場することは難しく、2009年夏の横浜隼人高以降初出場校は1校もない。プロ野球におけるシーズン最多安打記録を持つ秋山翔吾(広島)など、近年プロに多くのOBを送り込んでいる横浜創学館高ですら甲子園には出場したことがない。同県民としては6割以上の高校が甲子園に出場しているというのは想像を絶する数である。

 東京都でも東西合わせて252校の参加校のうち、甲子園に出たことがあるのは今年初出場を決めた東東京代表の共栄学園高を含めても37校にすぎず、出場率は14.7%と低い。その他、愛知県が16.8%、千葉県が16.9%、埼玉県が18.6%と5都県が2割以下。参加校数の減少でその比率は少しずつ上昇しているものの、概して参加校の多い都市部では低い比率となっており、甲子園に出場できるのはごく一部の野球に力を入れている特別な学校だけに近い。

 ちなみに、夏1代表の府県で最も甲子園出場校数が多いのは兵庫県で、現在まで43校に甲子園経験がある。

(野球史研究家 森岡 浩)