韓国の対中輸出が
低迷長期化

 10~12月期にプラス転換を狙う韓国の輸出に赤信号がともった。韓国最大の輸出市場である中国への輸出減少幅が再び大きくなったためだ。

 韓国関税庁によると、今月1~20日の韓国の輸出額は279億ドル(約4兆600億円)で前年同期比16.5%減少した。輸入額は314億ドル(約4兆6000億円)で27.9%減少した。これはエネルギー関連の減少が大きい。

 輸出の減少は対中輸出のウエートが最も大きい。今年1~7月の全輸出額の19.6%を占める対中輸出は、デフレの懸念に不動産危機まで重なり悪材料が重なっている。今月1~20日の対中輸出額は27.5%減少し58億7000万ドル(約8600億円)にとどまった。

 中国経済の再開、半導体景気回復に伴う輸出増加の期待はあったが、先月の対中メモリー半導体輸出は前年同期比50.3%減少した。延世大学経済学部のキム・ジョンシク名誉教授は「中国経済沈滞で韓国の輸出も当初予想ほどには増えにくくなった。中国が不動産バブル問題をどのように解決するかがカギ」と懸念を表明している。

「欧州の病人」ドイツから
韓国が学ぶべきこと

 朝鮮日報は、欧州最大の経済大国ドイツが欧州で最悪の経済難に陥っていることを報じている。IMFの世界経済展望報告書でも、今年のドイツの経済成長率は-0.3%で、G7の中で唯一マイナス成長が予想されている。

 エネルギー価格の高止まりによる製造業ショックが雇用市場を直撃、消費者物価は高止まりして内需は冷え込んでいる。

 かつてドイツは、競争力の高い輸出企業のおかげで、外部から衝撃が来ても急速に回復する弾力性があった。中国経済が高度成長を続けていた2000年代には、中国との関係は大きなメリットであった。しかし、中国が新型コロナから経済活動を再開しても、その恩恵をドイツは受けていない。

 加えて、自動車産業などは中国の電気自動車に押され危機的状態になっている。

 韓国のマスコミは、こうしたドイツの現状を伝えることで、高い中国依存からの脱却の必要性を訴えているのだろう。