北朝鮮問題でも
中国への対応に変化

 尹錫悦政権は、北朝鮮との関係において、対話や協力を模索する立場から、強力な対応は控えてきた。また、中国には北朝鮮の行動を抑えることを期待してきた。

 しかし、尹錫悦大統領は21日から24日まで行われる米韓合同軍事演習「ウルチ演習」に寄せて「北朝鮮が先制核攻撃と攻撃的戦争準備をうんぬんするが、われわれは北朝鮮のいかなる挑発にも即刻的で圧倒的に懲らしめるだろう」と述べ、圧倒的な力で平和を守る姿勢を強調した。今回の演習では、サイバー攻撃、テロなど多様な非伝統的脅威にも対応する国家総力戦遂行能力を高めるよう進められる見込みだ。

 中国とロシアは国連安保理で北朝鮮を支援し、北朝鮮の追加挑発に対しても、安保理として何も対応できない情勢である。特にロシアは北朝鮮からの武器弾薬の供給を受ける見返りとして、大陸間弾道ミサイル(ICBM)などの技術を供与しているとの情報がある。

 尹錫悦政権は北朝鮮との関係でも、中国、ロシアに対する期待は持っていないだろう。その意味でも中国依存は失われている。

不動産大手にデフォルト危機
「中国版リーマンショック」の可能性も

 16日、中国の不動産景気の低迷を受け、アジア各国の株式市場は軒並み下落した。中国不動産大手の碧桂園控股(カントリー・ガーデンHD)や遠洋集団などのデフォルト(債務不履行)危機が金融界に拡大し、「中国版リーマンショック」が起きる懸念が出ている。ブルームバーグは同日、中国最大の信託会社、中融国際信託が先月下旬以降、信託商品10種類以上の支払いを延期したと報じた。

 碧桂園控股発の不動産危機に見舞われ、地方財政が揺らいでいる。過去3年間のコロナ対策費用支出で財政に余裕がない上に、不動産企業の不良債権を買い取ったため、借金まみれになっている。かなりの地方政府は資金源が枯渇し、地域経済に責任を負えなくなっている。

 5月に為替相場の防衛ラインである「1ドル=7元」を割り込んだ人民元は一段安となり、対円、対ウォンでも下落している。こうした中、外国人が中国株を処分する「セルチャイナ」の動きも見られる。

 JPモルガン・チェースは、今年の中国の経済成長率予測を従来の6.4%から4.8%に引き下げるなど、大手投資銀行の評価も悲観的になっている