【ソウル】新型コロナウイルスの大流行は北朝鮮の経済に打撃を与え、同国内で恐怖をあおり立てるとともに、金正恩朝鮮労働党総書記の生活を脅かした。
しかし、そうした恐怖は社会・経済・情報のまひ状態を生み出し、金氏に有利に働いた。北朝鮮がコロナ対策で長期間続けてきた厳格な隔離措置を緩和する中、39歳の独裁者の支配力はかつてないほど強まっている。
北朝鮮の国境封鎖により中国との闇市場での違法な取引が急減し、誰が富を手に入れたり失ったりするのかを決める金氏の力が強まった。外国の外交官や援助活動家が国外に去ったことで、この不透明な統治体制を外部の世界が把握することはさらに難しくなった。金氏は国内の災難を外国由来のウイルスのせいにすることができた。