子どもから大人まで数学を苦手とする人は非常に多いのではないでしょうか。ましてや高校数学ともなるとほとんどの人が挫折してしまった経験を持っているでしょう。しかし、高校数学の基礎は丁寧に学べば特別難しいものではなく、同時に得た知識は私たちの生活にも大きく役立ちます。そんな高校数学の超入門書として書かれたのが『【フルカラー図解】高校数学の基礎が150分でわかる本』です。本記事でははじめての人から大人の学び直しまで1人で高校数学が学べる本として発刊された本書より内容の一部を抜粋してお届けします。

勉強Photo: Adobe Stock

数学の公式丸暗記がダメな理由とは?

 以前の記事で、「N通り中M通りが当たりのとき、当たりの確率はM÷Nである」という公式を説明しましたが、これについて次のように考える人がいます。

 大学に合格する確率は50%である。なぜなら、合格と不合格の2つのパターンがあり、そのうち1つが「合格」であるからだ。

 しかしこれは大間違いです。実際の合格確率は受験生の実力や大学のレベルに大きく依存します。確率10%のこともあれば、確率90%のこともあります。

図

 それでは、なぜこのような誤解が起こるのでしょうか。以前の記事で説明したとおり、N通りのパターンすべてが同じ確率で起こるわけではない場合はM÷Nという式が使えないのですが、この条件を見落とす人が多いからです。

 皆さんの中には、数学の公式を丸暗記してそれを闇雲に実際の問題に適用させようと思う人もいるでしょう。しかし、公式を使う前に一度立ち止まって、本当にこの公式を使っても良いのか、考えてみることも重要です。