中国が日本の医薬・医療企業に「ラブコール」を送る内情、自治体幹部の来日相次ぐPhoto:PIXTA
*本記事は医薬経済ONLINEからの転載です。

 迷走を重ねている感が強まるばかりの日本を尻目に、さまざまな問題を抱えながらも、「製薬強国」への道をひた走る中国。中国当局によるアステラス社員の拘束は解決していないとはいえ、日本の製薬企業にとって引き続き重要市場であることは間違いないだろう。事実、今春、中国医薬品市場に関するセミナーを開いたある業界関係者は「満席になった」といい、関心の高さを背景に「情報に飢えているのだろう」と推し量る。

 そんな中国だが、俗に言う革新的医薬品は、ほぼすべて海外に頼っている。しかし、すべてを自国で賄うことを志向する“赤い国”の常で、医薬品産業でも国産化に取り組んでいる。自動車など他産業と同じくまず海外勢の力を借り、その水準を高めるのが第一歩。近年、がんや希少疾患などで欧米や日本の画期的な新薬を、積極的に承認する方針なのはその流れに連なるだろう。一方、自国の医薬品産業のレベルアップにも手を打つ。そのひとつが医薬品や医療関連産業の集積を図るクラスターやサイエンスパークの形成だ。