たくさん英語を勉強したのにいつまでたっても話せる実感が持てない――そんな英語学習者から「最短で英語の表現力をつけるならこれ」「会話で使える用例が半端なく多い」と絶賛の声を集める本がある。『話す力が身につく5分間英単語』だ。著者は、英字新聞The Japan Times Alpha編集長を10年以上務める高橋敏之さん。本稿では、「リスニング力を向上させるために知っておきたい2つのアプローチ」を教えてもらった。
英語ネイティブと話していて、簡単な文なのに意外と聞き取れなかったり、スピードが速すぎてついていけなかったりした経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
どうすれば、英語の聞き取りができるようになるのか? ここでは、リスニング力を高めるための方法についてお伝えしましょう。
リスニングには「2つの壁」がある
そもそも英語を「聞き取る」とはどういうことなのかを考えていきましょう。
聞き取りの最初の段階は、これです。
(1) 英語の音を耳でキャッチする
まずは、発話された一語一語を、しっかり耳でキャッチする必要があります。
特に英語では前後の音がつながることが多いので、どの単語が発話されたのかが分かりにくくなることも多いもの。
これを理解するための「耳」を養成する必要があるのです。
ただ、これはゴールではありません。
当たり前ですが、音を耳でキャッチしただけでは、聞き取ったことにはなりませんね。実はこの先にもう1つの段階があるのです。
(2) 耳から入った英文の意味を理解する
当然ながら、意味が理解できなければ聞き取ったことにはなりません(音を聞いた上で、その意味を取るから「聞き取り」と言うわけです)。
これは、実はリーディングとプロセスはまったく同じ。英文が目から入るか、耳から入るかの違いで、入ってきた英文を処理するのは脳です。
しかも、ネイティブスピーカーのナチュラルスピードの英語は速い! これを素早く理解するには、脳での英語の処理能力を鍛えておく必要があります。
例えば、TOEICなどのリスニング試験を受けた際に、
「一つ一つの単語は割とはっきり聞こえるのに、読まれた文章の意味が分からない」
「最初のうちは話についていけたが、途中から分からなくなってしまった」
といった経験はありませんか?
こうした人は、一応音は聞こえているので、英語を聞き取る耳ができていないわけではありません。
つまり(1)の段階はクリアしているものの、(2)の「意味を理解する」ということでつまずいてしまっています。
おそらくは、ゆっくり発話されれば理解できたのでしょうが、ナチュラルスピードで英語が次々と耳から飛び込んでくるため、途中から脳の処理が追いつかなくなってしまった状態なのです。
このように聞き取りには2つの段階があり、これらは以下のように言い換えることができます。
(1)「音」の壁
(2)「スピード」の壁
リスニング力を高めるには、この2つの壁をどう越えていくかという両面からアプローチする必要があるのです。
それぞれ、具体的に見ていきましょう。
「音」の壁を越えろ
これにはまず、それぞれの単語の発音を知ることが第一歩です。
正確な発音を知らずに、単語の綴りから「こんな発音かな」と適当に理解しているケースが意外と多いもの。
例えば、以下の語の発音が分かりますか?
・chaos
・genre
・hierarchy
・Ikea