小さな一歩なくして大きな飛躍はない。
先月、インドの無人探査機「チャンドラヤーン3号」が月面に着陸し、同国は米国、ロシア、中国に続いて月面着陸を成功させた数少ない国の一つとなった。インドは世界で初めて月の南極付近への着陸も成功させた。ロシアの無人探査機が同地点への着陸準備中に墜落してからわずか数日後のことだった。未踏の辺境地を目指すレースでの勝利は、14億人の人口を抱えるインドにとってとてつもない偉業だ。
しかし、インドの月面着陸に関して最も特筆すべき点は、それを限られた予算で達成したことだ。
インドの年間の宇宙開発費はロシアを数十億ドル下回っており、米国の開発費と比較しても桁違いに少ない。今回のお得なミッションにかかった費用は推定7000万ドル(約102億円)と、他国にとってははした金に過ぎない金額だ。まだどの国も足を踏み入れていなかった場所に安い費用で到達したことで、インドはどんなビジネスにも当てはめられる成功モデルを提供している。