豊富な知識や経験は
ミドル世代の武器

 では、具体的な「自分の武器」の見つけ方とは。

「『キャリアの棚卸し』を行うのです。『職務経歴書』を書いてみると、自分のこれまでのキャリアを洗い出せますよ。職務経歴書が書けたら、できれば社外の人、難しければ職場の同僚などに見てもらってください。どのスキルが魅力的に見えるか、強みと呼べるかを、客観的に判断してもらうのです」

 このとき、自分がこれまでに積んできたキャリアを“業務”レベルまで細分化して考えていくと、武器が見つけやすくなるという。

「営業職を例にして考えてみましょう。営業の仕事を大まかに分けると、アポイントを取る、提案をする、クロージングをする、といった業務で構成されていると思います。副業市場では、この『アポイントを取る業務』『提案をする業務』という“業務”単位で人材を求めている企業もあるのです。さらに、『提案をする』という業務に付随する、資料作成、プレゼンをする、といった業務も、副業市場では立派な武器になり得ます」

 鏑木氏は「出社が必須となる業種の人でも、“業務”単位で武器を探していけば、リモート副業は可能です」と、アドバイスする。

「たとえばシェフの場合、シェフのメインワークとなる『料理を作る』という価値はリモート副業では提供できません。でも、食材の“知識”、食品加工の“知識”などは、場所を問わず提供できる価値です。『自分の仕事は現場に行かないと成立しない』と思っている人でも、あなたが持っている“知識”を求めている人はいます。自分では大したものではないと思っている経験、知識、技術が、意外な価値を発揮してくれるのです」

 前述の通り、知識やノウハウが多いミドル世代ほど、「プロジェクト型」の仕事に携わりやすい。ただ、なかには“知識”を求められる「短期タスク型」の副業もあるとか。

「テレビや雑誌などではコンテンツを作るために、そのテーマの有識者に取材をします。これだって、本業がある人が受ければ、立派な副業。自分の持っている知識や経験談を“話す”だけで、お金に変わるのです。どんな職業の人でも関係なく受けられる副業といえます」