副業を始める上で
注意すべき点とは

 モデル就業規則の改定を経て、「副業」という言葉はかなり世間に浸透した。実際に、自社の社員に「副業を許可します」と後押ししている企業も増えてきている。

「しかし、『副業者を積極的に活用しましょう』という企業は増えていないのが現状です。とはいえ、世の中的に副業を取り巻く枠組みができつつあるので、これからどんどん成長していくマーケットだと思います」

 見方を変えれば、参入者が少ない今のうちに副業をスタートすれば、先行者利益を得られる可能性も高い。悩んでいる人は、今が副業の始め時なのだ。

「私たちが提供している『HiPro(ハイプロ)』のようなマッチングサービスもありますが、現在の副業市場では『友人・知人から紹介してもらう』という方法で仕事を受注している人がかなり多いです。このやり方も、人脈が広いミドル世代に向いています。年齢を重ねるほど、交友関係も広がることが多いですからね」

 知り合いであれば、すでに互いの能力も分かっている。どのレベルまでの作業なら頼めるのか、いつ頃までに仕上げてくれるのか、などの発注のやりとりもスムーズにできるだろう。ただし「知り合いだからこそ注意が必要な部分も」と、鏑木氏は警鐘を鳴らす。

「親しい間柄ゆえに気軽に仕事を頼める半面、報酬、期限、仕事内容などがいい加減になりがちです。もちろん悪気はないのでしょうが、友人だと思うと指摘もしづらい。人脈で獲得した仕事ほど、きちんと業務委託契約書を締結するなどができると、お互い気持ち良く仕事を続けられると思います」

 また、ある程度副業の経験を積んできたら、報酬面も気にすべきだという。

「提示された金額が相場よりも安すぎるとか、かかる時間と労力に見合っていないと感じる案件は、交渉するか、もしくは断りましょう。友人間での仕事だと金額の部分がルーズになりやすいですが、友人だからといって安い金額で引き受けていると、後々トラブルにも発展しかねません」

 副業市場はまだまだブルーオーシャン。そして武器や人脈が豊富なミドル世代ほど、この市場で活躍できるのだ。激動の時代の中で、時間の余裕を感じていたり、より自分の価値を発揮したいと思っていたりする人は、今すぐ副業を始めてみては?