「カッコよく結果を出す人」より「鈍臭くても頑張る人」の方が、長期的に「成功」しやすい“明白な理由”

上司の承認を得たり、部下に仕事を進めてもらったり、お客様にお買い上げいただいたり……ビジネスにおいて「相手の理解を得て、相手に動いてもらう」ことは必須のスキルです。そこで、多くのビジネスパーソンは「理屈で説得しよう」と努力しますが、これが間違いのもと。
なぜなら、人は「理屈」では動かないからです。人を動かしているのは99.9999％「感情」。だから、相手の「理性」に訴えることよりも、相手の「潜在意識」に働きかけることによって、「この人は信頼できる」「この人を応援したい」「この人の力になりたい」という「感情」を持ってもらうことが大切。その「感情」さえもってもらえれば、自然と相手はこちらの意図を汲んで動いてくれます。この「潜在意識に働きかけて、相手を動かす力」を「影響力」というのです。
元プルデンシャル生命保険の営業マンだった金沢景敏さんは、膨大な対人コミュニケーションのなかで「影響力」の重要性に気づき、それを磨きあげることで「記録的な成績」を収めることに成功。本連載では、金沢さんの新刊『影響力の魔法』（ダイヤモンド社）から抜粋しながら、ゼロから「影響力」を生み出し、それを最大化する秘策をお伝えしてまいります。

誰もが思わず「応援したくなる人」とは？

　とにかく頑張る――。
　これも、ゼロから「影響力」を生み出す重要なポイントです。

　なぜなら、人間だれしも、何かに一生懸命、全力を尽くしている人がいれば、思わず「応援」したくなるからです。本気で頑張っていれば、ただそれだけで、相手の潜在意識にポジティブな感情を呼び起こすことができるのです。

　運動会のかけっこを思い出してください。
　足の速い子どものなかには、ぶっちぎりの一位を確信すると、ゴール前でスピードを緩める子もいましたよね？ 実は、身体能力に恵まれていた僕は、よくそんなことをやっていました。正直に言えば、余裕でゴールを切る自分が「かっこいい」と思っていたのです。

「かっこよく結果を出す」よりも大切なこと

　だけど、自分が親になって、子どもたちの運動会に行くようになると、かつての僕のように余裕で一等を取る生徒よりも、びりっけつでも一生懸命に走っている生徒に目がいくようになります。

　おそらく、人間としてさまざまな経験を積むなかで、能力や才覚や運などに恵まれず、どんなに頑張っても結果を出すことができない「悔しさ」や「辛さ」を身をもって学んだからでしょう。びりっけつでも頑張る生徒のことを、我がことのように感じて、思わず「頑張れ！」と応援していることに気づくのです。

　これは、仕事においても同じです。
　どんなに鈍臭かったとしても、仕事に一生懸命に取り組む人がいれば、周囲の人々は「何か力になってあげたい」「なんとか結果が出せるようにしてあげたい」「この人が結果を出して、心から喜んでいる姿を見たい」などと思ってくれます。

　そして、力を貸してくれたり、貴重な情報を教えてくれたり、重要人物を紹介してくれたりといったサポートをしてくれるようになります。つまり、周囲の人々を動かす「影響力」が与えられるのです。

自分の頑張りを上手に「演出」する

　この「影響力」のパワーを、僕は営業マンとして実感してきました。
　というのは、すでに述べたように、僕は、当時、めちゃくちゃなハードワークを自分に課していたからです。そして、自分がどれだけ一生懸命に仕事に取り組んでいるか、できる限りお客様に伝えるようにしていました。