モノや情報があふれかえったストレス社会のなかで、迷いを減らし、安定した心と体の状態を保ちながら毎日をすごすにはどうしたらいいのでしょうか。自律神経研究の第一人者として、数多くのプロスポーツ選手、アーティスト、文化人へのコンディショニングやパフォーマンス向上指導に携わっている小林弘幸さんの著書『「シンプル」な選択が自律神経を整える理由』(青春出版社)から、心と体を最高の状態に持っていくヒントを紹介します。
「迷い」が先か、自律神経の乱れが先か
「心・技・体」という言葉があります。武道をはじめ、スポーツ界でよく使われる言葉で、最高のパフォーマンスを発揮するためには、精神力、技術力、体力のバランスが取れていることが重要だという意味です。
自律神経は、3つのうちの「心」にあたりますが、実は「心」だけを整えようと思っても、なかなかできるものではないのです。
私はスポーツドクターとして、多くのアスリートにアドバイスをしていますが、「メンタルを強くするには、どうしたらいいでしょうか」と、相談されることが少なくありません。そんなとき私は、「体・技・心」の順番で、まずは「体」の調子を整えてください、とお伝えしています。
いくら類(たぐい)まれな技術を持っていても、強靭(きょうじん)な精神力でも、体の調子が悪ければいい結果は出ません。まず整えるべきは「体」なのです。
それは、「選択」にもいえることです。