人生を左右するような重要な選択は、体調がいいときにするべきなのです。体の調子が整っていれば、馬力がありますから、いろいろなことを調べたり、多くの人に意見を聞いたりできます。血流がよく、脳に十分な酸素やブドウ糖が運ばれていて、集中力も高まっている状態ですから、そうしたたくさんの情報を元に、よりよい選択ができます。

 逆に、体調が悪いと、情報を集めることも、人にアドバイスを求めることも面倒臭くなり、「もう、いいや」となってしまい、情報不足などから選択を誤ってしまうことが多くなります。

忙しいときは大事な「選択」をしないほうがいい

 忙しいときや慌てているときも同様です。時間に追われて、すでに自律神経が乱れている状態ですから、大事な選択はしないほうがいい。

 たとえば朝寝坊をしてしまったときに、慌てて支度をしていて、眼鏡をかけたまま顔を洗おうとしたり、眼鏡をかけているのに眼鏡を探したり、信じられないようなミスをすることがありませんか。

 忙しいときというのは、仕事が雑になったり、いつも当たり前にやっているチェックをし忘れたり、普段では考えられないようなミスをしがちです。落ち着いているときには、当たり前に聞き流せる言葉にも、いちいちカチンときて、まわりに八つ当たりをしてしまうこともあります。冷静な判断など、とてもできない状態ですから、こんなときに人生の重要な選択などしないほうがいいことは明らかです。

 私は、「寝坊したときは、歯磨きだけでも、あえてゆっくり時間をかけて行ってください」といっています。歯磨きなんて、どんなにじっくり磨いたとしても、3分もかかりません。でも、その3分で呼吸が整って、自律神経が安定してきます。

 緊張したときに、深呼吸するのもそうですね。私は、「1:2呼吸法」(1で息を吸って、その2倍の長さで吐く)を提案していますが、ゆっくりと深く呼吸することで、副交感神経の働きがアップし、収縮してしまっていた血管がゆるみ、血流がよくなって、心が落ち着いてきます。

 よりよい選択をするには、まず、体の調子を整えること。「迷い」があると自律神経が乱れるといいましたが、交感神経と副交感神経がバランスよく働いて、自律神経が整っていれば、「迷い」は少なくなります。

「迷い」と自律神経というのは、表裏一体なのです。