韓国製の55インチ有機ELテレビが、2013年春以降、いよいよ発売が開始される。「この分野でも韓国勢に遅れを取った…」と見られがちだが、これからの有機ELの歴史から考えれば、実はまだ「2合目」にすぎないという。今後、テレビとは比べものにならない「ディスプレイ大革命」が有機ELによって起きる。その時にこそ、日本メーカーの勝機と活路が見えてくる、というのだ。
日韓せめぎあう有機EL市場の現状と気になる今後について、有機ELの第一人者・山形大学の城戸淳二教授に話を伺った。(構成・本丸諒)

来場者が思わずイキを呑んだ有機ELテレビの迫力

 1年ほど前の2012年1月10日、世界最大の家電見本市であるCES(Consumer ELectronics Show:アメリカ・ラスベガス)で、世界の耳目を集める新型テレビが韓国メーカーから発表され、日本の家電メーカーに激震が走った。サムスン電子とLGエレクトロニクスによって「55インチの有機ELテレビ」が展示されたのである。大型の有機ELディスプレイの初めての登場に、会場はどよめきとともに大歓声が湧き上がった。

 有機ELテレビは、映像のコントラストを左右する黒色の表現にとくに優れており、液晶テレビを継ぐ「次世代テレビの本命」とされている。厚さ数ミリという極薄デザインと、ブラックが映える美しい画面に来場者たちは度肝を抜かれたのだ。

 半年後の2012年6月、ボストンで開かれたSID(国際情報ディスプレイ学会:The Society for Information Display)でも、サムスンとLGの55インチ有機ELテレビは「これ以上の画質は必要ない」と思える美しさで人々の注目を集めた。

SID(2012年6月)に展示されたサムスンの55インチ3D有機ELテレビ。ことし2013年1月のCES2013には、ソニーとパナソニックがそれぞれ4K解像度(4000×2000画素)の56インチ有機ELパネルを発表。パナソニックでは、有機ELを印刷で塗布する手法を採用。
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