出世・給料・人事の「新ルール」#9Photo by Akira Yamamoto

企業経営を取り巻く環境が激変する中、旧来型の社長の行き詰まりが生じている。特集『出世・給与・人事の新ルール』(全10回)の#9では、三菱ケミカルグループで初となる外国人社長人事を主導した社外取締役で指名委員会委員長の橋本孝之氏に、「次世代社長の条件」を聞いた。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)

日本人社長は思考停止に!
三菱ケミカル社長選抜の内幕

――経営者に求められる資質やスキルは、どのように変化していると感じますか。

 いまの経営の特徴は「正解がないこと」です。製造業でいえば、かつて日本を支えたのは、安くて高品質で納期を守るという、型にはまった大量生産方式のものづくりでした。

 ところが現在は、カーボンニュートラルのような社会性と経済性を両立させる、相克を超える経営が必要であり、何かのお手本があってその通りやるだけでは通用しない。そこが従来と大きく違うポイントです。

 日本の経営者の多くがやはり思考停止に陥っていると私は思うんですよね。旧来のような営業のトップでバリバリ売ってきたり、工場長で実績を残したりといった能力だけでは社長としては駄目です。

次ページでは、橋本氏が語る「社長の条件」や指名委員会の好事例として捉えられる三菱ケミカルグループの社長人事の裏側をお伝えする。社外人材の抜てきには社内の反発も当然予想されるが、同社ではどのようなリアクションがあったのか。その経緯を橋本氏に語ってもらった。